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クラウドファンディング

2024.07.03

国土交通省が不動産クラウドファンディングの「実務マニュアル」を公表!その理由とは?

国土交通省が不動産クラウドファンディングの「実務マニュアル」を公表!その理由とは?

国土交通省は、2023年9月に「不動産クラウドファンディングに係る実務手引書」を公表しました。このマニュアルには事業者に向けた内容が記載されていますが、不動産クラウドファンディングに興味がある投資家にも押さえておきたいポイントがあります。本記事では、国土交通省が不動産クラウドファンディングに関する実務手引書を公表した狙いや、投資家に与える影響を解説します。不動産クラウドファンディングに興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。

そもそも「不動産クラウドファンディング」とは?

不動産クラウドファンディングとは、不動産投資とクラウドファンディングを組み合わせた投資方法です。具体的には、運営事業者がインターネット上で不特定多数の投資家から資金を募り、それを元手に不動産投資を代行するサービスです。投資家には出資した金額に応じて賃貸料収入や不動産売却による利益が分配されます(⇒詳しくは『【初心者入門】不動産クラウドファンディングとは?わかりやすく解説』で解説)。

国土交通省が公表した「実務マニュアル」とは?

国土交通省は、2023年9月に「不動産クラウドファンディングに係る実務手引書(以下、実務マニュアル)」を公表しました。実務マニュアルには、以下のような内容が記載されています。

 

  • 不動産クラウドファンディングを行ううえで必要な組織体制・管理体制
  • 事業上のリスクやトラブル要因、必要な対策、ポイント
  • 実務を成功させるためのマーケティング上の工夫や戦略

 

不動産クラウドファンディングはインターネット上で行われる電子取引業務なので、システム構築が必須となります。しかし、不動産に精通している事業者でも自社でシステムの開発や管理をするのは困難であり、多くの会社がシステム業者へ委託をしているのが現状です。ただ、外部委託によるトラブルやシステム障害が発生するリスクがあるため、国土交通省が実務マニュアルを公表しました。

 

なかでも、実務マニュアルはシステムの構築やクラウドファンディングの経験に乏しい事業者や、情報格差が生じやすい地方の事業者などを対象に作成されています。

国土交通省が実務マニュアルを公表した狙い

国土交通省が実務マニュアルを公表したのは、投資家を保護する狙いや、地方創生への活用を促す狙いがあるとされています。ここでは、国土交通省が実務マニュアルを公表した狙いを解説します。

 

投資家保護

国土交通省が実務マニュアルを公表したのは、不動産クラウドファンディングを行う事業者が投資家を保護しながら適切な業務管理体制を整えられるように支援する狙いがあるといわれています。

 

不動産クラウドファンディングは、2017年・2019年の「不動産特定共同事業法」の改正以降、急速に事業者数が増えています。下図は、国土交通省が公表している「不動産特定共同事業法に基づく不動産クラウドファンディングの件数・出資額の推移」です。

 

不動産特定共同事業(FTK)のクラウドファンディングの件数・出資額
※引用:国土交通省『不動産特定共同事業(FTK)の利活用促進ハンドブック』(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001519666.pdf

 

平成30年度(2018年度)における不動産特定共同事業のクラウドファンディングの件数は26件に対し、令和4年度(2022年度)は419件と、4年間で急増していることがわかります。

 

2017年の「不動産特定共同事業法」の改正以前は、取引をするにあたって書面の交付が前提とされていましたが、以降はインターネット上での手続きに関する規定が整備され、契約書面の交付や手続きがオンラインで完結できるようになりました。そのため、不動産クラウドファンディングが立ち上げやすくなり、多くの出資金が集まるようになったと考えられます。

 

また、2019年の法改正では、直前3期分の計算書類を有しない新設法人でも、不動産クラウドファンディングに参入できることが明確化されました。

 

2017年・2019年の法改正により、不動産クラウドファンディングへの参入障壁が低くなったものの、十分な組織体制や管理体制が整っていない事業者があるのも否定できません。このような事業者が適切な業務管理体制を整え、投資家保護を促す目的で実務マニュアルを公表したと考えられます。

 

地方創生

国土交通省は、事業を成功させるための戦略やノウハウを実務マニュアルで提示することで、不動産クラウドファンディングの活用を促しているとも考えられます。なかでも、国は地方創生の資金調達の手段として不動産クラウドファンディングを推し進めています。

 

たとえば、空き家の活用事業は金融機関の融資の対象となりにくく、資金調達が難しいのが実情です。しかし、融資の代わりとして不動産クラウドファンディングを活用すれば、投資家から集めた資金で空き家を生まれ変わらせることができます。

 

不動産クラウドファンディングを地方創生に活用する動きが広がれば、投資家は収益を期待できるだけでなく、地方に貢献する機会を得られるようになるでしょう。

実務マニュアルの公表が投資家に与える影響

国土交通省が公表した不動産クラウドファンディングの実務マニュアルには、投資家を保護するための具体的な対策が事業者向けに記載されています。そのため、実務マニュアルの公表により、投資家は以前より安心して不動産クラウドファンディングを利用しやすくなるでしょう。

 

不動産クラウドファンディングは、案件によっては1万円からの少額投資ができます。また、株式やFXなどの金融商品と異なり、市況による大きな影響を受けにくく、利回りが比較的安定している魅力もあります。そのため、リスクを抑えながら投資を始めたい方におすすめの方法です(⇒詳しくは『【初心者入門】不動産クラウドファンディングの仕組みと始め方を分かりやすく解説』で解説)。

不動産クラウドファンディングはさらに期待の選択肢へ

国土交通省が公表した不動産クラウドファンディングの実務マニュアルには、システムの管理体制の整え方や、実務を成功させるためのポイントなどが記載されています。

不動産クラウドファンディングは、成長過程の業界といえるため、今後の動向にも注目しておくことが大切です。

 

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この記事を書いたスタッフ

OWNERS.COM編集部