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クラウドファンディング

2024.06.26

不動産投資で気軽に分散投資ができる「不動産クラウドファンディング」とは?

不動産投資で気軽に分散投資ができる「不動産クラウドファンディング」とは?

会社員の資産形成には不動産投資がおすすめといわれますが、“不動産を対象とする投資”のなかでも、近年は「不動産クラウドファンディング」に注目が集まっています。不動産クラウドファンディングには、案件によっては一口1万円と少額から始められる手軽さや、インターネット上で簡単に投資できる利便性のほか、投資初心者でも「分散投資」をしやすいという魅力も。本稿では、不動産クラウドファンディングがどのように「不動産の分散投資」に役立つのか、具体的な方法や注意点を解説します。

「分散投資」のメリットとは?

従来の不動産投資(いわゆる実物不動産投資)は株式投資と異なり、毎日の価格変動を心配しないで済むというメリットがあります。ただ、市場動向や物件の条件により価格は変動します。そのため、購入や売却のタイミングは慎重に選ぶ必要があります。また、投資物件が1つしかないと資産が地域や物件・種別に集中してしまうという課題があります。投資対象を1つに絞り込んで資金を集中投資すると、その投資対象不動産に何らかの問題が発生した場合、資産価値が大きく下落するリスクがあるのです。

 

一方で、複数の投資先に資金を分散投資することで、一部の投資先で問題が発生したとしても、他の投資先で得られるリターンにより損失を補える可能性があります。これにより、全体としての投資リスクを軽減することが可能です。そのため、不動産投資では複数の物件に分散投資することが大切です。

 

不動産投資におけるリスク分散のメリットは、主に以下の3つが挙げられます。

 

リスクを分散できる

地域(例:東京や大阪)や物件種別(例:オフィスビルや一棟アパート)を分散することで、特定の物件や地域の収益が落ち込んだ場合でも、全体のリスクを抑制することが可能です。これは、一部の物件や地域だけに投資を集中させると、その地域や物件が経済的な打撃を受けた場合、投資全体が大きな影響を受けるリスクがあるためです。

 

キャッシュフローの安定化

地域や物件種別を分散することで、季節変動や特定のタイミングでのキャッシュフローの集中といったリスクを軽減できます。例えば、特定の地域や物件種別が季節によって収益性が変動する場合、その影響を他の地域や物件種別で補うことが可能です。

 

投資機会の拡大

複数の地域や物件に投資を分散することで、より多くの投資機会を見つけることができます。これは、特定の地域や物件種別に投資を限定すると、その範囲内でしか投資機会を探せないためです。分散投資することで、様々な地域や物件種別から最適な投資機会を見つけることができます。

不動産投資で分散投資を実践するには?

不動産投資で分散投資を行う方法はいくつかありますが、主に以下の2つの方法があります。

 

エリアを分散する

不動産投資においては、地域の経済状況や地価の動向が大きな影響を与えます。そのため、1つのエリアに投資を集中させると、そのエリアの経済状況や地価の変動により、投資リスクが高まる可能性があります。

 

そこで東京・大阪などの大都市だけでなく、地方都市や郊外など複数のエリアに投資することで、地域経済の動向に左右されにくくなります。これにより、一部のエリアで不動産価格が下落しても、他のエリアでの価格上昇により全体のリスクを軽減することが可能です。

 

物件の種類を分散する

また、不動産投資の対象となる物件の種類によってもリスクは異なります。例えばアパートやマンションは、人口動態や住宅需要の変動に影響を受けやすく、一方オフィスビルは経済状況や企業の業績に大きく影響を受けます。

 

したがってアパート、マンション、オフィスビルなど、異なる種類の物件に投資することで、それぞれの物件の特性によるリスクを分散することが可能です。これにより、一部の物件で価格下落や空室率の上昇が発生しても、他の物件での価格上昇や入居率の向上により全体のリスクを軽減できるのです。

 

以上のように、不動産投資における分散投資は、投資リスクを軽減し、安定したリターンを得るための重要な戦略となります。投資家は自身のリスク許容度や投資目標に応じて、適切な分散投資戦略を選択することが求められます。

不動産クラウドファンディングで進める分散投資

ただし不動産投資における分散投資は、金額面でのハードルの高さ、物件管理の手間などの課題があり、個人投資家には負担が大きい面があります。そこで注目されているのが「不動産クラウドファンディング」です。

 

不動産クラウドファンディングとは、インターネット上で投資家から資金を集めて、不動産事業を行う投資方法です。従来の不動産投資とは異なり、少額から投資できる手軽さや、オンラインで簡単に投資できる利便性から、近年注目を集めています。

 

ファンドの起案者は、多数の個人投資家から集めた資金を用いて不動産を購入します。その後、資産価値を上げるための改善を行ったり、賃貸物件として運用したりします。そしてその利益や家賃収入を、配当として投資家に還元します。

 

事業者は、不動産特定共同事業法(FTK)の第1号・第2号免許や、第2種金融商品取引業の免許を取得しています。事業者が持つ免許というのは、法律の下での業務を行う許可を国から得ているということを意味します。これは事業者が法と倫理に則って業務を行うことを確認するためのもので、投資家に対する信頼性の証となります。

 

平成30年から令和4年の不動産特定共同事業によるクラウドファンディング(FTK)の件数・出資額は、以下の通りです。

 

引用:国土交通省『不動産特定共同事業(FTK)の利活用促進ハンドブック』(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001519666.pdf

 

不動産特定共同事業法(FTK法)は、投資家から集めた資金で不動産を取得・運営し、その収益を投資家に分配する事業、つまり不動産クラウドファンディングを規制する法律です。

 

令和4年度(2022年度)における不動産特定共同事業(FTK)のクラウドファンディングは、件数が419件、出資総額が604.3億円となりました。これは前年度(令和3年度)の227件、231.8億円と比較して、件数は約1.85倍、出資総額は約2.61倍に増加しています。この結果から、1年間で不動産特定共同事業(FTK)のクラウドファンディングが急速に拡大していることがわかります。

 

不動産クラウドファンディングは個人投資家が少額から参加できるだけでなく、簡単な手続きで幅広い物件への分散投資が可能になります。投資対象別に分散投資できるため、投資目的に合わせて最適なポートフォリオを組成しやすくなります。また、全国各地の優良案件へ出資できるので、地域分散も容易です。

 

加えて、自身で物件運営する必要がないため、投資後の管理が極めて手軽になります。また、販売期間が限定された区分所有権を取得するため、将来の流動化も見込めるなどのメリットもあります。

 

不動産クラウドファンディングは少額から始められるうえ、エリアや投資対象の分散投資がしやすい点が強みです。長期的な資産形成を目指す場合、不動産の分散投資は効果的な方法です。それを誰でも気軽に実践できる利点が、不動産クラウドファンディングに注目が集まる理由といえます。

ただし、不動産クラウドファンディングにも注意点が

ただし、不動産クラウドファンディングには以下のようなデメリットが存在します。

 

流動性の低さ

不動産クラウドファンディングは、投資した資金をすぐに換金することが難しい(=流動性が低い)というデメリットがあります。これは、不動産投資が長期的な視点で行われることが多く、投資した資金を短期間で回収することが困難であるためです。

 

元本が減少するリスク

物件によっては、元本が減少するリスクも存在します。例えば物件の価値が下落した場合や、テナントが退去してしまった場合など、投資した資金を回収できない可能性があります。

 

これらのデメリットを理解し、自身のリスク許容度や投資目標に照らし合わせて、不動産クラウドファンディングへの投資を始めるようにしてください。

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2024年1月から始まった新たな少額投資非課税制度(NISA)により、個人の資産運用への関心が高まっています。そんななか、投資期間が短く、高い利益を期待できる不動産クラウドファンディングは、多くの人々にとって魅力的な選択肢です。もちろん、投資である以上は先述のようなリスクもありますので、投資にあたっては各案件をきちんと見極めることが大切です。

 

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この記事を書いたスタッフ

OWNERS.COM編集部