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2024.05.22

【書き下ろし】”今”の経済を知って実践する年収別投資戦略!経済アナリスト・森永康平氏が徹底解説『日本経済の状況』

【書き下ろし】”今”の経済を知って実践する年収別投資戦略!経済アナリスト・森永康平氏が徹底解説『日本経済の状況』
森永氏②


今回は、金融教育ベンチャーの「マネネ」を経営するとともに、経済アナリストとして講演や執筆、YouTubeなどを通して経済や投資環境に関しての情報発信をしている森永康平氏に、「2024年の経済環境と投資戦略」について、「日本経済の状況」「世界経済の状況」「資産別投資戦略」の3つのテーマでお話しいただきました。

日本経済のポイントは「インフレ」と「賃上げ」

2024年の世界経済をお話しする前に、まずは我々が住んでいる日本経済についてデータとともに見ていきます。

まず昨年2023年がどのような1年間だったのか。専門家、経営者、投資家にも話を聞いてみると、多くの方が2つのポイントがあったといいます。
1つは「インフレ(物価高)」。もうひとつは「賃上げ」です。昨年、大企業をメインとして30年ぶりの賃上げ水準が達成されました。
今年2024年は何がポイントなのか聞いてみると昨年と同じく、「今年もインフレが起こるのか、物価高が落ち着くのか」「賃上げが昨年と同様の水準くらいで実現されるのか」と言われる方が多くいます。

そこで、最初にインフレと賃金についてお話しします。

日本の賃金は本当に上がってるのか

2024年の世界経済をお話しする前に、まずは我々が住んでいる日本経済についてデータとともに見ていきます。
まず昨年2023年がどのような1年間だったのか。専門家、経営者、投資家にも話を聞いてみると、多くの方が2つのポイントがあったといいます。
1つは「インフレ(物価高)」。もうひとつは「賃上げ」です。昨年、大企業をメインとして30年ぶりの賃上げ水準が達成されました。
今年2024年は何がポイントなのか聞いてみると昨年と同じく、「今年もインフレが起こるのか、物価高が落ち着くのか」「賃上げが昨年と同様の水準くらいで実現されるのか」と言われる方が多くいます。
そこで、最初にインフレと賃金についてお話しします。

このグラフは厚生労働省が発表している現金給与総額の変化率を表わしています。
青い方が「名目賃金」、赤い方が「実質賃金」と書いてますが、まず言葉の意味がよくわかっていないという方もいると思いますので、少し極端な例を挙げて説明します。
「名目賃金」というのは、額面の金額そのものを表しています。
今年「年収500万円」の人が、来年「年収1,000万円」になった場合は、「名目賃金が倍になった」という言い方になります。
一方で、名目賃金が倍になったからその人は豊かになったのかというと実はその情報だけではあまり何とも言えません。
例えば500万円の年収が1,000万円になった1年間において、物価は10倍になってしまった。
こうなると1杯500円だった牛丼が1杯5,000円じゃないと食べられなくなってしまうので、年収が倍になったくらいでは、むしろ貧乏になっているでしょう。
物価の変動も考慮したものが「実質賃金」ということになります。今の言葉の意味を理解した上で、このグラフを見ていただくと、私たちの給料は上がっていることが分かります。
ただし、それは額面上で上がっているというだけで、この2年間ぐらいは、物価の上がるスピードのほうが賃金の上がるスピードより早かったので、実質的な賃金は下がっている、ということになるわけです。
巷では賃上げが行われたというニュースがよく流れてますが、その割にはあまり自分の生活が豊かになったという印象を持たない方がいると思います。そのカラクリはまさにこれですね。物価上昇が賃金の上昇スピードを超えているというところにあるわけです。

日本のGDP・個人消費はマイナス成長

この実質賃金が下がると、私たちは何をするか。当然節約をしますよね。
実際に節約をしているのかというのが次のグラフになります。

このグラフは厚生労働省が発表している現金給与総額の変化率を表わしています。
青い方が「名目賃金」、赤い方が「実質賃金」と書いてますが、まず言葉の意味がよくわかっていない

上のグラフ、総務省「家計調査」のデータを見ていただくと10カ月連続でマイナスの伸び、つまりこの10か月はお金を使っていないということがわかります。 今は賃金とか消費支出というものを見ましたが、全体観として見るときは、GDP(国内総生産)を見ます。

上の図の折れ線グラフは、四半期ごとの実質GDP成長率の変化率です。
カラフルな棒グラフは、GDPの変化率が何によって押し上げられたのか、または押し下げられたのかというものを表しています。
まず皆さんに見ていただきたいのは、23年3Qと4Qは、実は2四半期連続でマイナス成長になっています。この2四半期連続でマイナスになると、経済学の世界では「テクニカルリセッション」と言い、定義上は、景気後退に入ったと言われています。
では、何が景気を押し下げたのか、後ろの棒グラフを見ていただくと、このピンクは個人消費なんですね。
実は2023年の第2四半期はプラス成長ですが、グラフを見ていただくと、ピンクが下のほうに来ている。つまり、経済全体としては2四半期連続のマイナス成長だが、内訳を見ていくと個人消費は3四半期連続でマイナスとなります。
まだ2024年の第1四半期というのは、まさに現在進行中ですので結果はわかりませんが、恐らく24年の第1四半期もマイナス成長になります。これは元旦に石川の地震があったり、大手の自動車メーカーが生産調整していたりするので、恐らくマイナスだろうとの予測です。
もし個人消費が同じくマイナスとなってくると4四半期連続、つまり1年間ずっと個人消費がマイナスという話になります。
もともとコロナ期間中は「みんな外へ出ちゃだめだよ」ということで消費を抑えていました。コロナが5類に移行されてみんなが外へ出られるようになったら、消費は強くなると
多くの専門家が言っていたのですが、ふたを開けてみたら、1年ずっと個人消費はマイナスになりそうという実態です。
このようにGDP、賃金、消費というのを見ていくと、少なくとも日本の内需と呼ばれる国内の消費は非常に弱いということがデータでは分かりますね。

株価は好評なのにコロナ後に企業の倒産件数増加?

日本国内の経済を見ると、実は経済の主体というのは3つあると言われています。
1つは今見てきた家計で我々「個人」、もう1つは「企業」残りの1つは「政府や日銀」です。
実際に節約をしているのかというのが次のグラフになります。

今、「個人」の家計は非常に弱いという話をしたので、もう1つのプレーヤー「企業」について見ていきたいと思います。

上の図の左側は企業の倒産件数の推移実数です。ちょうどコロナが落ち着いた頃から倒産が急増しているというのがわかるかと思います。
政府がコロナ期間中は「00融資(無担保無利子の融資)」をかけており、資金繰りがついたから倒産はコロナ渦の間は減っていました。ただし、コロナが落ち着いたことによって、逆に今度は、貸した金を返せというフェーズに入ってしまい、倒産が急増しています。
事業がコロナの前の水準に戻っていれば、借金の返済もそこまで苦しくはないのですが、
実はコロナが終わったからといってコロナ前にビジネスの水準が戻ったかというと業種によってはそうでもありません。
皆さんの肌感覚でわかりやすいところでいうと、居酒屋やそれに付随するカラオケとかですね。コロナ前は終電を空けてまで飲んでいたりしましたが、最近は終電前には帰る、そもそも飲みに行かないという傾向にあります。
コロナ前の水準に戻っていないにもかかわらず、コロナ前には存在しなかった融資の返済が始まっているということで倒産が増えています。
つまり、日本の家計と企業は非常に厳しい状態ですね。特に「企業」と僕が言っているのは
主に中小零細企業です。
一方で、日経平均株価はバブル後の最高値を更新して株価だけは絶好調です。
「株価だけが絶好調で生活実感が上がらない、なぜだろう」とよく聞かれますが、株価は何百万社と企業があるうちの約3,800社が上場していてその中のトップ225社の株価でつくっているのが日経平均です。
一方で、労働者の7割は中小零細企業に勤めています。株価がいいから生活実感もよくなるというのが幻想で、株価と、多くの方の生活実感は全く違うんです。
では7割の人たちはどうなのか、中小零細に勤めているわけですからこの状況になっています。
企業も家計も日経平均を見ていると、すごく日本経済は良いように見えますが、実態としてはあまり良くないということがデータではわかるわけです。

政府・日銀の動向は「金融政策決定会合」を読み解く

では、もう一人のプレーヤーである政府・日本銀行はどう動こうとしているのか。
日本銀行は毎月、「金融政策決定会合」を開いていて、その中で金利を上げるのか下げるのかという話をして多数決で決めています。
金融政策決定会合の中で話された主な意見は、会合の約1週間後に日銀がホームページに公開しています。発言を匿名で公開するので、誰が言ったかというのはわからないようになっています。

金融政策決定会合の中で話された主な意見は、会合の約1週間後に日銀がホームページに公開しています。発言を匿名で公開するので、誰が言ったかというのはわからないようになっています。

上の図の左側は企業の倒産件数の推移実数です。ちょうどコロナが落ち着いた頃から倒産が急増しているというのがわかるかと思います。
政府がコロナ期間中は「00融資(無担保無利子の融資)」をかけており、資金繰りがついたから倒産はコロナ渦の間は減っていました。ただし、コロナが落ち着いたことによって、逆に今度は、貸した金を返せというフェーズに入ってしまい、倒産が急増しています。
事業がコロナの前の水準に戻っていれば、借金の返済もそこまで苦しくはないのですが、
実はコロナが終わったからといってコロナ前にビジネスの水準が戻ったかというと業種によってはそうでもありません。
皆さんの肌感覚でわかりやすいところでいうと、居酒屋やそれに付随するカラオケとかですね。コロナ前は終電を空けてまで飲んでいたりしましたが、最近は終電前には帰る、そもそも飲みに行かないという傾向にあります。
コロナ前の水準に戻っていないにもかかわらず、コロナ前には存在しなかった融資の返済が始まっているということで倒産が増えています。
つまり、日本の家計と企業は非常に厳しい状態ですね。特に「企業」と僕が言っているのは
主に中小零細企業です。
一方で、日経平均株価はバブル後の最高値を更新して株価だけは絶好調です。
「株価だけが絶好調で生活実感が上がらない、なぜだろう」とよく聞かれますが、株価は何百万社と企業があるうちの約3,800社が上場していてその中のトップ225社の株価でつくっているのが日経平均です。
一方で、労働者の7割は中小零細企業に勤めています。株価がいいから生活実感もよくなるというのが幻想で、株価と、多くの方の生活実感は全く違うんです。
では7割の人たちはどうなのか、中小零細に勤めているわけですからこの状況になっています。
企業も家計も日経平均を見ていると、すごく日本経済は良いように見えますが、実態としてはあまり良くないということがデータではわかるわけです。

上記は、恐らく上田総裁の発言だと考えられる一文を抜粋しています。
簡単にまとめると

  • 「マイナス金利を含む大規模金融緩和策の継続の是非を検討する」
  • 「出口についての議論を本格化させていくことが必要である」
  • 「マイナス金利解除を含めた政策修正の要件は満たされつつある」

と書いてあります。
要はもう異次元の金融緩和はやめたいということを匂わせているのですね。

これは日銀だけではなくて、世界中の中央銀行でも、政策決定会合で金融政策を決める前の段階に、こういう政策をやりますというのは投資家がそれを織り込んで動き出してしまうので言えません。
ただし、本当にブラックボックスにしてしまうと政策を変えますと言った時に相場が混乱してしまいます。そこで、いわゆる匂わせというものをやります。
つまり、「何をしますよ」というのは言えないけれど、「政策をもう変えようとしていることは気づくよね、というアピールをするんですね。
そうやって少しずつ小出しに匂わせていって織り込ませていき、その結果、実際に政策変更を発表した時に、相場が大きく動かないようにするということをやっています。

金融緩和は4月にやめると予測

この文書を読んでずっと今の金融緩和を維持すると思う人は多分いません。そろそろ金融緩和をやめたいんだなというのは誰が読んだってその通りです。
ではポイントは、いつやめるのか。
いろいろな説が出ていますが、私は4月が本命かなと思っています。根拠としては、上田総裁は前から「賃上げの成果が何となく見えてきて、かつ物価の上昇速度も見えてきたタイミングでやめます」という言い方をしています。
3月の中旬くらいになると、大体もう春闘の結果は見えてきて、4月になると3ヶ月に一回出している日銀の物価見通しが出せます。
ということは、4月のタイミングだと今年の賃上げの状況が大体わかり、自分たちの新しい物価目標も出すことになるので、賃上げや物価が見えてきます。
上田総裁の発言にちょうどその時期がマッチするのではと見立て、私は4月の予想をしています。
マイナス金利を解除して何がしたいんだという話ですが、上田総裁は学者出身です。
今まで日銀の総裁は財務省と日本銀行からそれぞれ順番に出していくという、たすきがけ人事というのをずっと行なってきました。しかし、今回の上田総裁はそのたすきがけ人事のルールを壊して学者から登用されています。
学者の特性としてあんまり教科書に載っていない変な技というのを使いたくないというのがあるはずなんですよね。教科書通りにやりたいと考えると、いわゆるマイナス金利であるとか、「イールドカーブコントロール(長期金利も中央銀行がコントロール)」や「ETF」「REIT」などのリスク資産を中央銀行が買い取るというような、黒田前総裁がやってきた緩和策は多分上田総裁はやりたくない、やめたいんだと思います。

金融緩和をやめるとどうなるのか?

やめると何が起きるかという話ですが、上田総裁は、「仮にマイナス金利をやめて0金利に戻したところで依然として金利は低い、つまり、マイナス金利を解除したところで金融緩和的な状況は続く」という言い方をしています。

しかし、本当にそうなのかというところがポイントです。

マイナス金利を0金利へ戻すと、確かにたかだか0.25%短期金利が上に上がるだけですが、投資家というのは当然その先を読みます。
マイナス金利を0金利に変えたということは、次の1手は金利を上げるというのがセオリーです。そうすると短期金利が上がるということは長期金利も上がります。
短期金利が上がると、例えば住宅ローンを変動金利で組んでいる人は返済額が増えます。
合わせて長期金利が上がると、固定金利に切り替えようとしても固定金利側の金利も上がります。そうすると、日本の家計は今、節約モードに入っているにもかかわらず、毎月のローン返済の額が引き上がるので、より消費が落ち込むのではないかと考えられます。
私はこのタイミングで金利を引き上げていくような動きというのは反対しているのですが、中央銀行としては金利はもう上げていくという方針なんだと思います。

長期視点でみる日本の経済とは

誤った政策をとると何が起きるのか、今度は、長期で見ていきたいと思います。

これは165カ国30年でどのくらい経済成長をしたかというのをグラフ化しています。 一番上は中国です。
少し下の方に行くとインド、その下にシンガポール、少し間が開いて、韓国台湾と続いています。

なぜ30年間日本は経済成長できなかったのか

この30年間、日本は全然成長できませんでした。なぜ成長できなかったのかというと、これには幾つか仮説が立てられます。
例えば、いい加減な仮説を立てると、「日本人の能力が他の国の人たちに比べて低い」という仮説も一応立てられます。もしその仮説が正しいとすると、そもそも戦後復興や高度経済成長は何だったのか、あの時も日本人がやっていたという話になるので、この仮説は恐らく違うのだろうと考えられます。
なぜ民族的に劣っているわけでもないのに経済成長はこんなにできていないのか。
これまた一つの仮説として出てくるのは、「経済政策を誤っていたから」ということになります。
実はこの30年間、日本の景気は上下に変動していましたが、悪くなった後に景気が戻ってきて、これから回復するという最初の1歩目2歩目ぐらいを歩きだした時に必ず日本がやってきたのは、「戻ってきそうなタイミングで金利を上げる」「増税をする」。
景気の腰を折るというのを、過去に3回くらいやっています。まさに今回、コロナ渦、そして世界的なインフレ、これを克服してようやく日本が回復しそうだなという時に、日銀は金利を上げようとしていて、岸田政権は少子化対策といいながら、保険料の引き上げ、防衛増税をするということを明言しています。
まさにいつか来た道をもう一回行こうとしているというのが日本の状態です。
政治家のなかには、「日本は経済成長していない。ただ経済成長すると格差というものが広がる。逆に日本は経済成長できなかったけれども、経済成長しなかったおかげで格差が広がらなかった。つまり、「1億総中流の社会ができた」ということを言う政治家もいます。

広がる一方の格差…投資家は日本を見限っている

ただ、それは恐らく1970年ぐらいで記憶が止まっている話で、実際どうなのか、相対的貧困率を見てみます

日本は今、G7の中でアメリカに次いで2番目に貧困率が高い状況です。つまり、格差は広がっていないというのはまったくの嘘で、確実に格差は広がっています。経済成長をしていないのに格差だけが広がっている最悪な状態に今なっています。
そして日本は少子高齢化が進み、同時に人口減少も進んでいるという重大な問題も抱えています。なので日本は個人家計の消費も弱く、企業も中小企業を中心にダメージが積み重なって格差は広がり、人口減少・少子高齢化が進んでいると非常に日本経済はいい状況ではないわけです。

なので新NISAが始まってから、日本の投資家はこれだけ上がっている日本株は一切買わずに、ほとんどの投資資金はアメリカや世界株の方に逃げています。つまり、そもそも日本人自体が日本経済や日本の政策に対してある意味見限って、外に投資した方が儲かるのではという投資行動を実際とってしまっています。


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この記事を書いたスタッフ

OWNERS.COM編集部