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2021.10.07

気になる「保険・住まい・相続」の問題どうする? FPがライフイベントの備え方を伝授

気になる「保険・住まい・相続」の問題どうする? FPがライフイベントの備え方を伝授

30代から40代の働き世代は、マイホームの購入や病気への備え、将来の相続など、考えなくてはいけないことが盛りだくさん。ライフイベントが次から次へと押し寄せる今こそ、腰を据えて考えたいアレコレ。
今回は、とりわけ気になる「保険・住まい・相続」の疑問を解消するべく、FPの大竹のり子さんに詳しい話を伺いました。

【保険】3つの目的のうちどれが必要かを検討するところからスタート

編集部:

30代から40代にとって必要な保険や保障内容の決め方について、根本的に必要な心構えを伺えますでしょうか?

大竹氏:

まず、保険は目的別にシンプルに考えることが重要です。昨今は保険商品がかなりバラエティに富んでいるので「どれにしたらいいの?」と悩んでしまう人も少なくないようですが、保険に加入する目的をシンプルに大きく分けると

・自分に何かあった時に残された人を支える保険
・怪我をしたり病気になったりした時に自分を支える保険
・貯蓄代わりの保険

に分類することができます。
やみくもに保険の検討を始めて情報過多になる前に、家族の有無や貯蓄の状況などを踏まえて、この3つの目的のうち、どれが今の自分に必要か考えるところからスタートしてみるとよいでしょう。

編集部:

医療保険は「怪我をしたり病気になったりした時に自分を支える保険」にあたりますよね。
これは家族の有無にかかわらず、加入するべきか悩む人が多い気がします。実際のところ加入したほうがいいのでしょうか。

大竹氏:

最低限の医療保険は加入しておいたほうがいいと思います。ただ、医療保険に限らず、どんな保険や保障も「ないよりはあるに越したほうがない」のが保険というもの。ですから、加入したほうがいいとはいっても、手厚い保障を求めるあまりに保険料がどんどん増えてしまう、ということにならないように注意する必要があります。保険に加入することで貯蓄や運用にお金を回せなくなってしまっては本末転倒です。

保険の本来の役割は「何かあったときにその保障があることで、生活やライフプランが崩れるのを防ぐ」ということ。裏を返せば、何かあっても貯蓄や社会保険等で補え、生活やライフプランに支障が出ないのであれば、わざわざ保険料を払って備える必要はないとも言えます。この点を念頭に置いて取捨選択すると、本当に必要な保障が見えてくると思います。

【住まい】人生100年時代には持ち家が有利

編集部:

賃貸or持ち家どちらがいいか決めきれない人も少なくないと思います。実際のところどちらがおすすめでしょうか?

大竹氏:

住宅ローンを払っている間で考えると、賃貸も持ち家も金銭的な負担には明確な差はありません。ただし、考えなくてはいけないのは老後のことです。
今は人生100年時代。老後が20年、30年と続く可能性が高い中で、仮に毎月6万円の家賃が必要になったとしたら、年間で72万円の支出になります。70歳から100歳まで、30年間家賃を払い続けるとしたら、2,160万円にのぼりますよね。一方、持ち家の場合は住宅ローンの返済が終わっていれば、この負担はほとんどなくて済むわけです。

ですから、もし老後までに住宅ローンを返せるという前提であれば、人生100年時代においては、トータルで見ると持ち家のほうがメリットが大きい、と言えるのではないかと思います。

編集部:

マイホーム購入にあたって、注意するべきことは何でしょうか?

大竹氏:

「出口戦略」を考えたうえで購入することが重要ですね。人生は長いですし、変化があるのが当たり前ですから、一度購入したからといって一生住み続けられるとは限りません。
賃貸に出したときに、得られる家賃が住宅ローンの支払い額を上回る物件、将来売却したときに資産価値が上がっているであろう物件をしっかりと選ぶことが大切です。そして「売却価格よりローン残債のほうが多くて売るに売れない」といった状況にならないために、割高な新築マンションを買わない、頭金をしっかり入れてローンを組むといったことも重要なポイントです。こういったポイントを押さえて購入することで、住み替えや売却の選択肢を増やすことができます。

【相続】不動産は生前贈与よりも相続のほうが節税の可能性大

編集部:

年齢を重ねると自分の財産についての相続を考えなければいけないタイミングもありますが、相続についてはどのように考えれば良いでしょうか。

大竹氏:

まずお伝えしたいことは、「相続はすべての人に発生する」ということ。お金持ちかどうかに関係なく、人が亡くなれば相続が発生しますから、相続のことは誰もが考えておかなければならない問題です。

財産を残す方法には、大きく分けて亡くなったあとの相続と生前贈与の2つがあります。「相続」は財産を持つ人の死後に相続人が財産を引き継ぐことを指し、「生前贈与」は財産を持つ人が生前に財産を人に贈ることを指します。
ここで絡んでくるのが「税金」です。相続には「相続税」、生前贈与には「贈与税」が課税されます。

資産規模にもよりますが、相続については、「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」の基礎控除がありますので、この範囲であれば相続税はかかりません。
一方、生前贈与については、贈与税の基礎控除が年間110万円となっていますので、納税が発生する可能性は相続税と比べて高いと言えます。ただし、どちらについても、条件を満たすことで適用される様々な特例があります。

保険、住まい、相続、どれにも言えることですがお金についての正しい知識を持つことはとても重要です。しっかり知識をつけた上で、いろいろな戦略が立てられるといいですね。

大竹のり子
profile

ファイナンシャルプランナー(CFPⓇ認定者・1級FP技能士)
株式会社エフピーウーマン代表取締役

正しいお金の知識かを伝えることで多くの女性の人生を支援したいという想いから、2005年に株式会社エフピーウーマンを設立。現在、経営の傍ら、講演、雑誌、テレビなど多くのメディア出演を通じ、お金の知識を学ぶ大切さを伝えている。

この記事を書いたスタッフ

OWNERS.COM編集部