クラウドファンディング
2021.09.30
この記事の目次
融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)について、説明します。
融資型クラウドファンディングは、集めた資金で事業者などに貸付を行うものです。個人投資家が直接貸付を行うためには、高いハードルがあります。CF営業者を挟むことにより、個人が間接的に貸金を行えるようにした仕組みが融資型です。
融資型では多くの場合、返済を滞りなく行うための保全として、担保や保証などの仕組みを備えています。
融資型クラウドファンディングでは、これまでいくつかのCF営業者で問題が起きました。融資である以上は一定の貸し倒れが起こって当然ですが、問題が起きた背景には、貸付先の財務状況、事業状況に関する監視が不十分であった、という理由があります。
今後の融資型では、監視とガバナンスという言葉がキーワードになりそうです。
融資型クラウドファンディングへの否定的意見として、「銀行が融資できないなんて怪しいのでは?」という声を耳にします。
担保が開発許可待ちの不動産であったり、数カ月の短期融資であったりという理由で、銀行の融資が受けづらい案件があるのも事実です。
融資型は今後も、銀行融資の隙間を埋める資金調達手段として重要であり続けると思いますし、同時に融資先の信頼性や保全を高めていくことが重要になっていくでしょう。
不特法型(不動産投資型)クラウドファンディングについて説明します。(以下、 不特法型に統一)
多くの不特法型クラウドファンディングは、不動産への直接投資ではなく「対象不動産への投資事業」に対して出資します。(*一部、任意組合型では直接投資を行う場合もあります)
不特法型クラウドファンディングの多くは、小口投資が可能(1万円~)で、運用期間が短期(数カ月~数年)という特徴があります。
また優先劣後方式などにより、CF営業者と投資家の利害が一致する仕組みがあることが、現物不動産投資とは異なっています。
不特法型クラウドファンディングは、不動産事業者が見込み客に対し、不動産投資に興味を持ってもらうためのフックツールとして利用する場合があります。
フックツールの案件は失敗すると評判に関わる上、話題性のために高利率(年利10%前後)の案件も頻繁に登場していて、投資家にとって有利な投資商品となる性質を持ちます。
融資型の歴史が10年以上なのに対し、不特法型は3~4年という違いもありますが、不特法型においては融資型と異なり、これまで大きな問題は起きていません。
その理由には、不特法型が現物の不動産に基づいているため、監視や統制が容易であることが挙げられます。
また、前述の通り潜在的な顧客にアプローチするためのフックツールとしても利用できるため、不特法型にはCF営業者の参入が相次いでいて、今後を考える上での目玉になると思います。
最後に、株式投資型クラウドファンディングについて紹介します。
株式投資型クラウドファンディングは別名ECF(Equity CrowdFunding)と呼ばれ、ベンチャー企業やスタートアップ企業へ少額から投資することができる投資商品です。
出資したベンチャー企業が上場や買収などでEXIT(ベンチャー企業の株式などが現金化を実現すること)した場合、大きなリターンを得られる可能性があります。一方、残念ながら上場や買収に至らず、出資が実らない場合もあります。また、ベンチャー企業に投資を促進するためのエンジェル税制を利用することで、投資だけではなく節税に使える案件もあるのが特長です。
ECF投資が始まってまだ歴史が浅いこともあり、2021年6月現在EXITの例はそれほど多くありません。大きなニュースとしては、プロ卓球チームの「琉球アスティーダ」が、TPM(東京プロマーケット)への上場を果たしたことが挙げられます。
ECFの今後は大型のEXITが出て業界が盛り上がるかどうか、という点にかかってくると思います。いずれにせよ、対象の企業を応援する気持ちが重要な投資であることは間違いありません。
2021年2月、金融庁から「成長資金の供給のあり方に関する検討(*金融庁「事務局説明資料(成長資金の供給のあり方に関する検討))」という資料が公開されました。この中では、非上場企業への資金供給を促進させる仕組みが議論されています。
今後の大きな流れとして、ベンチャー企業などへの投資が緩和されていくことが期待されます。
一般的にCFは、応援の気持ちや最新製品を試したいなどの理由で、モノやサービスを購入する方が多いです。
しかし、金額ベースでみたクラウドファンディングは投資型が大半で、その投資型には様々な類型・種類があることを紹介しました。
投資型クラウドファンディングの多くはインカムゲイン投資であり、
・見た目の値動きがない
・毎月のリターンが予想しやすい
という特長があります。
自分の投資スタイルに合わせ、投資型クラウドファンディングをポートフォリオの一部に組み入れてみるのはどうでしょうか。