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不動産投資

2021.08.29

【連載:不動産投資における賃貸物件の保証人問題④】流行りの家賃債務保証とは

【連載:不動産投資における賃貸物件の保証人問題④】流行りの家賃債務保証とは

家賃債務保証会社を利用してリスクヘッジを

不動産賃貸市場を取り巻く環境が大きく変化する中で、賃貸経営を営む大家にとって家賃債務保証会社の利用は経営上、リスクヘッジの手段として大変有益に機能します。具体的には以下の5つが挙げられます。

  1. 契約時の連帯保証契約者が見つからないリスクを回避できる
  2. 連帯保証の極度額設定による、極度額以上の滞納金回収ロスを回避できる
  3. 法人契約において連帯保証人を法人で立てる場合、財務状況の開示を嫌がる法人側が契約を躊躇することで生じる機会損失を回避できる
  4. 賃借人(入居者)死亡時に問題となる、物件の改修や空室化のリスク回避が行える
  5. 入居者が在留外国人であった場合、コミュニケーション対応でサポートを受けることができる

家賃保証とサブリースの違い

一般的に家賃保証というサービスをサブリースと同一視しているケースも少なくありません。サブリース事業とは建築工事から入居者や空室の管理、そして家賃保証といった一連の業務を一棟丸ごとの保証サービスとして請け負うものです。一方で、家賃“債務”保証事業とは、入居時点で物件ごとに保証を行う事業です。

ただし、実際の家賃債務保証会社は家賃保証に関連する付随サービスも提供しています。

家賃債務保証会社のサービス

家賃債務保証会社のサービスついて簡単に説明します。一般的な家賃債務保証会社が行っている業務の内容は以下の通りです。

  • 家賃収納代行の管理・支払い催促
  • 代位弁済(立替え) 
  • 裁判手続き
  • 残置物の撤去費用の保証
  • 申込者の審査・与信
  • 外国人入居者への対応

家賃債務保証に参入する業者は大きく2つのタイプに分類できます。一つ目のタイプが専業の家賃保証会社、二つ目がクレジットカード会社や信販系の家賃保証会社です。
かつては、カード会社系は債務の保証に特化し、専業は外国人入居者対応まで幅広くサービス提供するなど違いが見られましたが、現在どのタイプの家賃保証会社も概ね同一の家賃保証の事業メニューと保証プランを提供しています。

このため、家賃保証会社の選び方において大きなポイントとして家賃保証会社の信用度と安定性が重要視されています。一方で、家賃債務保証市場の成熟化とともに、サービスの多様化とともに賃貸経営を営む大家のニーズに合った家賃保証会社を選ぶ必要性は増しています。

監修:堂下 浩
profile

東京情報大学総合情報学部・教授

1964年生まれ。早稲田大学理工学部卒業。同大学院理工学研究科修士了。テキサス大オースティン校で経営学修士(MBA)を取得。東京情報大学博士(総合情報学)。
(株)三菱総合研究所、(株)ジャフコなどを経て現職。パーソナルファイナンス学会理事、早稲田大学招聘研究員などを兼務。専門は金融論、ベンチャービジネス論。 著書に『消費者金融市場の研究』文眞堂(2005)、論文に「前近代的な情報管理システムに起因する銀行カードローンの問題点に関する調査」パーソナルファイナンス学会No.5(2018)など。

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OWNERS.COM編集部