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2020.02.13
企業経営や投資を語る際にでてくるCSR・CSV・ESGというキーワード。
なんとなく分かっているようで分からない、、、もしくは読み飛ばしていませんか?
SDGsも含めた4つのキーワードは、とても密接に関連しているんです。
まずはこの単語を一つずつご説明していきます。
CSR ( Corporate Social Responsibility ) とは企業の社会的責任という意味です。
Wikipediaによると、
企業が倫理的観点から事業活動を通じて、自主的(ボランタリー)に社会に貢献する責任のことである。
Wikipedia 「 CSR(企業の社会的責任) 」
と説明されています。
つまり、企業が倫理を無視して自社の利益だけを追求したりせずに、社会的な責任を持って貢献しようという話です。
個人に例えると、
ゴミのポイ捨てって本人は邪魔だから道端に捨てるかもしれません。
しかし、そんな人が増えたら、世の中ゴミだらけ。
不衛生→病気が蔓延→死亡率が増加→人類滅亡→世紀末
というように、個人の身勝手が世の中に影響を与えてしまう訳です。
企業でも一緒です。
自社の利益だけを追求して、環境汚染を平気で行う会社が増えれば、
海洋汚染→海洋生物を食べて病気が蔓延→死亡率が増(以下、略)…
となるわけです。
ですから、社会に貢献する責任を企業が持つことはとても重要であるといえます。
最近では、レジ袋の有料化(エコバッグの推進)やプラスチックストローをやめる飲食店なども話題になっています。
このような取り組みもCSRやSDGsの一つといえるでしょう。
CSV( Creating Shared Value )とは共有価値の創造という意味です。
こちらもWikipediaによると、
企業の競争戦略を専門とするアメリカの経済学者マイケル・ポーターが2006年、米ハーバードビジネスレビュー誌の同年12月号に『Strategy and Society』と題する共著の論文の中で初めて提唱した[1]経営戦略のフレームワークで、企業による経済利益活動と社会的価値の創出(=社会課題の解決)を両立させること、およびそのための経営戦略のフレームワークを指す。
Wikipedia「CSV(共有価値の創造)」
つまり、会社の「利益の追求(経済利益活動)」と「社会的価値の創出」を両立した経営を行おうということです。
内容はCSRとほとんど一緒ですね。
ただ、CSVは企業の経営戦略のフレームワークの一つとして提唱されているものなので、CSRの「社会的責任」とはニュアンスが異なっています。
ざっくりとまとめると、社会的価値を創出(社会問題を解決)することで、企業価値が上がり、 廻りまわって結果的に会社の利益につながるというイメージです。
CSVによってブランディング価値の向上を図る企業もあり、世の中でもCSR・CSVへの意識が高まっています。
ニッセイ基礎研究所の川村雅彦先生のレポートでもCSRとCSVについて詳しく書かれています。
ニッセイ基礎研究所 川村雅彦 『ソーシャル・ブランディング 3.0-社会的課題の解決に向け、「本来のCSR」とCSVを統合する!! 』
ESGとは 、
・環境(Environment)
・社会(Social)
・ガバナンス(Governance)
の頭文字をとったものであり、
経済産業省によれば、
従来の財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資のこと
経済産業省「 ESG投資 」
と定義されています。
一般的に企業に投資する際、財務情報やキャッシュフローなど会社の経営情報を調べて判断することが主でした。
ESGはそれに加えて、環境・社会・ガバナンスを投資の判断に取り入れる投資方法となります。
具体的には、
環境(E):地球温暖化、自然資源、廃棄物管理、環境市場機会(再生可能エネルギーやグリーンビルディングなど)等
社会(S):ダイバーシティの社会化(女性の社会進出・活躍)、サイバーセキュリティ等
ガバナンス(G):コーポレートガバナンス(取締役の構成・報酬)、企業倫理等
といった内容を投資の判断基準に含めていきます。
参考:経済産業省「ESG投資と気候変動」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)
参考:みずほフィナンシャルグループ「ESGと企業経営について」
コーポレートガバナンスとスチュワートシップコード ガバナンス(G)内のコーポレートガバナンスに関して、英国で制定されたスチュワートシップコードと呼ばれる機関投資家向けのガイダンス(行動規範)が国際的な基準となっており、金融庁より日本版のスチュワートシップコードも制定されています。 日本版スチュワートシップコードの中では、 「投資先企業の持続的成長に資するよう、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づき、当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべきである。」 と述べられています。 |
ここまで各用語の意味を説明してきました。いずれも類似した意味も含まれていますが、目的や背景が異なるという点がポイントです。
・SDGsは国連で採択された国際的な目標 ・CSRは企業に対しての社会的な責任 ・CSVは企業の経営戦略の手法(フレームワーク) ・ESGは投資の方法 |
長期的な視野で物事を見つめることが、企業の成長や投資の成功にもつながると考えられます。また、人としても、次の世代がより良い生活環境を築けるように、今から取り組むことが大事ですね。
また、機関投資家はスチュワートシップコードやESG・SDGs等に基づいて投資先の企業を選定しています。そして、これらの方針や目標から外れる企業は、機関投資家が引き上げていく可能性が高いです。すると、企業の価値が下がってしまい、結果、株価が下がってしまう可能性があるということです。
実際に、米国の大手資産運用会社は
“ 石炭関連会社や化石燃料関連会社への投資を控えることを表明 ”
しています。
※三井住友DSアセットマネジメント「 『気候変動』問題は投資リスク? 」
そうなると、機関投資家が動いて企業価値が下がっていくと、個人投資家にも影響が出てくることもあるでしょう。
投資をするしないに関わらず、まずは世の中のSDGs・CSR等の取り組みに注目することから始めてみても良いかもしれませんね。新しい発見や投資との関連性が発見できるかもしれません。