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不動産投資

2021.06.28

【連載:不動産投資における賃貸物件の保証人問題③】増える外国人入居者の家賃を誰が保証するのか?

【連載:不動産投資における賃貸物件の保証人問題③】増える外国人入居者の家賃を誰が保証するのか?

グローバル化が不動産賃貸市場に与えた影響

在留外国人の現状

新型コロナ禍以前は、コンビニや飲食店で働く外国人労働者が増加傾向にありました。
その中で、少子高齢化の影響を受けてきた日本の賃貸住宅において、今後需要の拡大が見込まれているのは外国人の入居者です。

3か月以上日本に滞在し外国人登録をしている人数は近年増加傾向にあり、平成28年末時点で約240万人にもなりました。(※図1参照)

また、平成27年の国勢調査によると、在留外国人のほぼ半数の世帯が、賃貸住宅を住まいとしています。(※図2参照)

在留外国人増加の背景

在留外国人が増えた背景として、経済のグローバル化が進展したことによる就労ビザや入国規制の緩和などもありますが、実態としては就労ビザでの労働者は18.6%程で、留学生や技能実習生の受け入れが増加傾向の大きな要因です。

新型コロナ禍以前の居酒屋では、日本語が流暢なアジア系のアルバイトをよく見かけましたが、彼らの多くは留学生だと考えられます。

こういった背景もあり、日本で暮らす在留外国人の数に比例して、首都圏を中心に家賃保証のニーズは日を追うごとに増えてきています。

トラブルの要因

留学生もアルバイトなどで勤務をしながら日本の賃貸住宅を借りていますが、文化や慣習の違いから生じる未払いリスクや原状回復費の回収を巡るトラブルが大家さんにとって切実な問題となっています。

また、家賃の支払いだけでなく外国人入居者のトラブルとして、騒音、ごみの分別、そして契約を違反した入居行為の問題などもあります。
これら問題点は文化の違いのため、単純な経済的保証では回避できません。

家賃保証会社の重要性

一般的にこうしたトラブルを予防するためには、入居時の丁寧な説明や、入居後に大家さんが入居者である外国人と、日頃から密接なコミュニケーションを維持することが大切だと言われてきました。しかし、言語が通じない等でコミュニケーションが取りずらいのが実情です。
こうした問題に対応した、外国人対応もできる家賃保証会社も存在しています。

その問題を解決するために、外国人対応ができる家賃保証会社も存在しています。
大家さんに代わり、入居を希望する外国人に母国の慣習との相違点や、入居後も生活に関わる情報提供を行ってくれるので、家賃保証会社の重要性が高まったのではないでしょうか。

まとめ

特に最近は日本アニメやゲームの影響もあり、東アジアだけでなく、中央アジアやアフリカから日本へ留学を希望する学生が増え、対応しなければいけない言語や文化習慣も多彩になっています。
大家さんに代わり、外国人の対応を行うサービスがあるという点も、家賃保証会社の普及を後押しした要因だと言えます。

監修:堂下 浩
profile

東京情報大学総合情報学部・教授
1964年生まれ。早稲田大学理工学部卒業。同大学院理工学研究科修士了。テキサス大オースティン校で経営学修士(MBA)を取得。東京情報大学博士(総合情報学)。
(株)三菱総合研究所、(株)ジャフコなどを経て現職。パーソナルファイナンス学会理事、早稲田大学招聘研究員などを兼務。専門は金融論、ベンチャービジネス論。 著書に『消費者金融市場の研究』文眞堂(2005)、論文に「前近代的な情報管理システムに起因する銀行カードローンの問題点に関する調査」パーソナルファイナンス学会No.5(2018)など。

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OWNERS.COM編集部