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2021.05.24

【連載:内藤忍の超実践投資相談③】金融資産と実物資産~適切な比率とは?~

【連載:内藤忍の超実践投資相談③】金融資産と実物資産~適切な比率とは?~

金融資産

金融資産は、”取引コストが低く、流動性が高く、少額で投資できる”というメリットがあります。
ネット証券を使った個別株の手数料は低水準で、口座を開けばすぐに始めることができます。
また、販売手数料のかからないノーロードのインデックスファンドも選択肢は豊富で、FXに関しても為替手数料はほとんどかかりません。

しかし、金融資産は市場の効率性が高く、アクティブに運用しても市場平均(インデックス)を上回るのは難しいのが過去データからわかる現実です。

実物資産

実物資産は、”取引コストが高く、流動性も低く、最低投資金額も不動産なら最低でも1000万円以上と大きくなってしまう”デメリットがあります。
しかし、市場に「歪み」を見つけることが比較的簡単で、そこから超過リターンを狙うことも可能です。

例えば、相続税の納税で急いで売らないといけない不動産物件がある場合、売り急いでいるので相場よりも安く購入できるケースがあります。
こういった「歪み」によって割安になった物件の情報が入手できれば、高いリターンを実現することも可能です。

金融資産と実物資産の比率

金融資産と実物資産、それぞれの違いを理解しながら、2つの資産の組み合わせを考えていくことになりますが、その比率に唯一の正解がある訳ではありません。

借入を含め、投資できる資産が1000万円以下の場合

金融資産だけを使ってインデックス運用をしていくのが良いでしょう。
投資信託なら積立もできますから、毎月の投資を続けることで元本を増やしていけます。
いまなら、投資利益が非課税にできる「つみたてNISA」の利用は悪くありません。

借入を含め、運用できる資産が1000万円を超える場合

ローンを組んで実物資産への投資を検討しても良いと思います。
ただし、金融資産とは異なり、どの物件を買うかによる個別性が強くなるので、金融資産を使った投資よりはリスクが高いと言えます。しかし、その分資産を増やすスピードを早められる可能性が高くなります。

一般に資産規模が大きくなればなるほど、実物資産の比率を増やしていくことができます。
一定の金融資産を保有していれば、急な資金需要が発生した時でも、その範囲で対応することができるからです。
また、年齢が高くなったら金融資産よりも実物資産からのインカムゲインを狙った投資にシフトしていくのが良いでしょう。

まとめ

金融資産に関しては、個別の銘柄を選んだり、為替の投資タイミングを考えたりする時間があるなら、資産の配分方法にエネルギーを使った方が、賢明な投資ができることは確かです。

ちなみに、私(57歳)個人の運用資産の80%以上は、国内外の不動産を中心とする実物資産に配分しています。
実物資産の比率を高めることによって、株式のような価格変動の大きな資産の値動きに一喜一憂することなく、ストレスの少ない投資を継続することができているので、これはシニアの人に向いた投資対象だと思います。

内藤 忍
terahira_profile

株式会社資産デザイン研究所 代表取締役。
1964年生まれ。東京大学経済学部卒、マサチューセッツ工科大学(MIT)経営大学院修士課程卒(MBA)。
金融機関勤務を経て、1999年にマネックス証券株式会社の創業に参加。マネックス・ユニバーシティなどグループ会社の代表取締役を歴任後、株式会社資産デザイン研究所代表取締役就任。
著作は40冊を超え、「初めての人のための資産運用ガイド」はシリーズ30万部のベストセラーに。 早稲田大学、明治大学などで、資産運用に関する講座を開講。
毎週金曜日配信の資産デザイン研究所メールは、配信数49000通を超える人気。
ブログ「SHINOBY’S WORLD」も毎日更新中。

この記事を書いたスタッフ

OWNERS.COM編集部