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クラウドファンディング

2021.03.18

【連載:今こそ、始めよう!不動産クラウドファンディング①】専門家が明かす「短期なのに高利回り」の理由

【連載:今こそ、始めよう!不動産クラウドファンディング①】専門家が明かす「短期なのに高利回り」の理由

編集部:

今回から、行政書士の「石井くるみ」先生に、不動産投資クラウドファンディングに関する質問に答えて頂く連載企画が始まりました。

くるみ先生:

よろしくお願いします。
皆さんのご相談・質問についてお答えし、不動産投資クラウドファンディングが「短期なのに高利回り」の理由も明かしていきます!

不動産投資クラウドファンディングとは

編集部:

さっそくですが、「不動産クラウドファンディング」について、教えてください!

くるみ先生:

「不動産クラウドファンディング」とは、インターネットを通じて、不動産に対する小口の投資資金を集める仕組みを言います。

編集部:

ネットで小口の不動産投資…かなりお手軽な投資ですね。

くるみ先生:

はい。
「スマホから手軽に投資」と言われる投資商品の1つですね。
通常、不動産投資には多額の資金が必要ですが、不動産クラウドファンディングであれば、少額から気軽に不動産投資を始めることができるので、近年人気を集めています。

編集部:

不動産にもいろいろとあると思いますが、具体的にはどんな商品があるのでしょうか?

くるみ先生:

例えば、クリアル株式会社の「CREAL」では、沖縄のホテルや都心の保育所を投資対象とする商品がありました。
他にも、FANTAS technology株式会社が運営する都心の区分マンション投資をメインとする「FANTAS Funding」、ちょっとユニークなものとして、地方創生をテーマに古民家の改修・リノベーション投資を行う株式会社エンジョイワークスの「ハローリノベーション」など、さまざまな商品があります。

編集部:

各社でコンセプトや商品が色々あっておもしろいですね!
でも投資となると、運営会社の評判も気になります。大手企業が展開しているものはありますか?

くるみ先生:

上場企業が提供している商品もありますよ。
例えば、四国の穴吹興産株式会社が展開している「ジョイントα」、リノベーションが得意な株式会社インテリックスが始めた「x-cloud」、SESONポイントで投資できるプロパティエージェント株式会社の「Rimple」、契約期間が無期限の株式会社マリオンの「i-bond」、REITの運営も行っているトーセイ株式会社の「TREC Funding」など。

編集部:

上場企業も参入しているんですね!
しかし、気になる利回りや運用期間はどのくらいなのでしょう?

くるみ先生:

運用期間や利回りなどは、運営会社や商品によってそれぞれ異なります。

例えば、前述の「CREAL」が募集した沖縄のホテル開発ファンドは運用期間2年で予定利回りは年6.0%でした。

また、「FANTAS funding」は運用期間4ヶ月~12ヶ月で、予定利回りは年1.0%~8.0%です。ちなみに1.0%というのはコロナ下における医療従事者向けに住居を提供するプロジェクト、8.0%は2周年記念のプロジェクトと、特殊なケースとなります。最近の予定利回りは3%台が多いようです。

他にも、運用期間が無期限でいつでも解約でき、予定利回りは年1.5%というような商品もあります。

不動産クラウドファンディングでできること

編集部:

運用期間が短い割には、ずいぶんと利回りの高い商品もあるようですが、何か裏があるとか…。
商品の仕組みや、気をつけるリスクがあれば教えてください。

くるみ先生:

利回りが高い理由としては、やはり不動産という裏付けがある資産を投資対象にしているからですね。
一般的に不動産投資といえば、家賃(インカムゲイン)が主な収入のイメージですが、最近の不動産クラウドファンディングの商品は、新築やリノベーションによってバリューアップさせた建物の売却益(キャピタルゲイン)を分配原資にしているため、高い利回りを出すことができる案件が多いのです。

キャピタルゲインを狙うファンドでは、開発やリノベーションが済んだらすぐに物件を売却するため、運用期間が短くなる傾向にあります。

編集部:

なるほど。売却益を分配原資にしているので利回りが高いんですね。納得です。

くるみ先生:

手軽にキャピタルゲインの還元を受けられるのは、不動産クラウドファンディングならではの魅力といえます。
ただし、開発や大規模なリノベーションを行う案件では、利回りが高い反面、工事に関するリスクも生じることを理解しておきましょう。

編集部:

えっ!?工事に関するリスクって何ですか?

くるみ先生:

不動産の開発や大規模なリノベーションには、建築だけでなくインフラ整備等の建設工事が伴います。
すると工事スケジュールの遅延や、資材の高騰によるコスト増加、工事を請け負った工務店の倒産など、工事に関するさまざまなリスクが生じます。
このようなリスクを負うからこそ、利回りも高くなるといえますね。

編集部:

なるほど、リスクとリターンの両方を考慮して商品を選ぶことが大事なんですね。

くるみ先生:

そのとおりです。
また、ここだけの話ですが、不動産クラウドファンディングは新しい金融商品なので、プロモーションの一環として高めの利回りが設定されている商品も多いです。
特に開始したばかりのサービスなどは、多少大盤振る舞いをしているケースもあり、魅力的な商品が出ていることもあります。

編集部:

「お買得」商品もあるということですね!
これから、いろいろな商品を見比べて研究したいと思います。

石井くるみ
terahira_profile

日本橋くるみ行政書士事務所代表 不特法アドバイザー
国交省『FTK活用検討会』総括会・委員

不動産と金融規制を専門とし、これまで40社を超える企業の不動産ファンド事業参入を支援。ファンド法務に限らず、戦略立案から商品設計、会計実務までを、各分野の専門家と連携してワンストップでサポート。 2020年6月、国土交通省『不動産特定共同事業(FTK)の多様な活用手法検討会』総括会の委員に就任。不動産金融の理論と実務の両面を踏まえたFTKの様々な活用手法を提言している。
主な著書・論文:『民泊のすべて』(大成出版社、2017年度日本不動産学会著作賞受賞)、『不動産特定共同事業(FTK)のすべて』(月間不動産フォーラム21連載)、『不動産クラウドファンディング事業化のポイント』(全国賃貸住宅新聞に連載)など

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OWNERS.COM編集部