不動産投資
2020.01.23
今回は海外不動産に関する税制改正についてお話ししますが、
皆さん、税制改正の流れはご存じですか?
税制改正の流れをおさえておくことで、さらなるお金に関する知識の向上に繋がるかと思います。
12月になると、新聞の経済欄には、
「政府税制調査会(政府税調)・税制改正要望・与党税制調査会(与党税調)・税制改正大綱・改正法案」
などなど堅い漢字がつらつらと並びます。
だいたい世の中が税制改正で騒ぎ始めるのは、与党税調が税制改正大綱を発表する12月中旬です。
大綱の発表を受けて、税理士業界もすったもんだの議論が始まります。
あとは、その前後を考えると税制ニュースの時期と内容が読めるようになってきます。
税制大綱発表が12月中旬だから、
・その前2ヶ月くらいは与党で議論しているのかな?
・そのまた2ヶ月前には省庁からの改正要望が提出されるのかな?
といった具合です。
発表後2ヶ月くらいで財務省が法案化し、
3月末に国会承認
4月から施行
また振出しに戻る。
そんなスケジュールとなっております。
例えば2019年の朝日新聞で見ると、
2019年11月21日 | 「税制改正で対応」 寡婦控除で見解 自民・甘利氏 |
2019年11月22日 | 税制改正へ、与党税調本格化 |
2019年11月27日 | 空き地売却、税控除へ 「負動産」対策で最大100万円 |
2019年12月3日 | 5G整備加速狙い、携帯事業者向け減税へ 自民党税調 |
2019年12月7日 | 25%控除、税優遇へ 企業、ベンチャー投資なら |
こうした報道があった後に大綱発表に至ります。もはや年中行事ですね。
2019年12月13日 | くらし・経済、どう変わる 2020年度・与党税制改正大綱 |
各報道機関が、毎年大綱の発表と同じくして公開する解説は、なかなか要点がまとまっていてわかりやすいものだと思います。
これを見るだけでも参考になるはずです。
一例としてNHKの解説を挙げておきます。
2019年12月12日 | 2020税制改正 -暮らしどう変わる-|NHK NEWS WEB |
「税制改正大綱」は、詳細版と概要版の2種類の文書が公表されます。
ご興味がある方は、概要版から読み進めることをオススメします!
詳細のすべてを読みこなすのは専門家といえども、なかなか骨が折れる作業です(泣)
余談ですが、「税調、税調」と耳にすることはありませんか?
この税調には、内閣府の審議会としての「政府税制調査会」と、政党が組織する「与党税制調査会」があります。
過去には、「税調のドン」と呼ばれた故:山中貞則氏の「政府税調は軽視しない、無視する」という発言もあったように、長い間、与党自民党の税調が事実上の税制決裁権を握っていました。
そのため「税調」というと与党税制調査会を指すことが多いです。
ただし民主党政権時代には、政党機関への権力集中を回避しようと、政府税調と与党税調の一本化を目指しました。
現在の自民党政権では、再度、揺り戻しが起きているようで、「税調」といっても一悶着あるようです。
各省庁は所管行政を通して間接的に税制にも関わっています。
税制は、各省庁にとって政策実現のための大きな足かせでもあると同時に大きな武器です。
行政活動を通して発見した問題点を「税制改正要望」という形で、金庫番である財務省に伝えます。
財務省はその報告を受けて、これらをとりまとめます。
あまり見る機会もないとは思いますが、この機会にどんなものか覗いてみると面白いかもしれません。
改正の端緒の多くは、8月に提出される各省庁の税制改正要望であると考えてよいでしょう。
ただし、意外にも別の端緒があったりもします。
今回の記事で取り上げる海外中古不動産に関する税制改正は、まさにその例です。
その端緒とは、会計検査院の指摘です。
会計検査院の使命が「常時会計検査を行い、会計経理を監督し、その適正を期し、かつ、是正を図るとともに検査の結果により、国の収入支出の決算を確認する」ことであるように、会計検査院は、租税の不公正に対して厳しい視点を持っています。
各省庁の税制改正要望による政策実現というより、まさに節税の穴をふさぐことに力を入れていると言えるでしょう。
過去に会計検査院の指摘があり、なおかつ税制改正として具体化していない項目のうち主なものは、以下の通りです。
近い将来、改正される可能性が高いと言えます。
以上のように、様々な経緯を経て、税制が改正されます。
次回は、海外不動産の税制改正を取り上げ、実際に細かく解説していきたいと思います。
次回もお楽しみに!