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不動産投資

2021.02.10

不動産投資で大家さんが抱える7つの悩み(リスク・トラブル)と対処法

不動産投資で大家さんが抱える7つの悩み(リスク・トラブル)と対処法

「空室リスク」と対処法

大家さんにとって最も悩ましいリスクは「空室リスク」です。
家賃収入を見込んでローンや固定資産税を支払い、収益を見込むビジネスである以上、空室はできるだけ避けたいものです。
空室の長期化は、融資が返せなくなり死活問題となってしまいます。

空室リスクの対処法としては主に次の4つがあります。

  1. そもそも空室が長引くような立地(駅から遠い、周辺環境が劣悪等)で投資をしない
  2. 一定期間ごとに、室内のリフォームをして清潔さを維持する
  3. 物件の賃料相場をきちんと調べ、無理な価格で募集をしない
  4. 仲介や管理を不動産会社や管理会社に任せきりにせず、大家さんが最終決定をする

4は不動産会社が安く買い取りたいためにわざと入居者を絞った事例もあり、任せきりのために実態が分からず、泣く泣く物件を手放すケースがあるからです。

「滞納リスク」と対処法

災害や疫病、大恐慌など、借主の収入が突然絶たれてしまうようなことが多い時代です。
昨今では、新型コロナウイルスの流行で職を失い、家賃の減免を大家さんに依頼するケースなどをニュースで知られた方も多いでしょう。
特に、店舗系の借主からの減免要請は多く、「滞納されるよりはいい」と、大家さんが泣く泣く応じるケースが多くありました。
新型コロナウイルスの影響は本当に気の毒なのですが、大家さんにとってもビジネスであり、家賃の滞納は最も避けたいことです。

滞納リスクを避ける方法としては、主に次の4つがあります。

  1. 家賃保証会社を利用する
  2. 入居者募集時の審査に大家として、不動産会社と共に審査に加わる
  3. 家賃は振込ではなく口座振替を利用する
  4. 大家と借主とで、一度は顔を合わせておく

最近の家賃保証会社は、口座振替で家賃を取得し家賃の取りこぼしを防いだり、家賃滞納時の督促なども一手に引き受けてくれますのでおすすめです。

「老朽化・修繕リスク」と対処法

建物は当然、老朽化していきます。
いわゆる耐用年数というものがあり、建物の構造によって年数は異なります。
建物の価値を保つための維持修繕には費用がかかります。
対策を怠ると劣化が速くなるので注意が必要です。

その対処法として、主に次の2つがあります。

1.定期的なメンテナンスを実施
定期的なメンテナンスを施し、設備や配管を一定年数で交換することによって必要以上の劣化を防ぎ、建物の寿命を延ばすことができます。
屋根、屋上防水、壁塗装、配管、電気設備、ガス、冷暖房などものによって劣化速度が違うため、修繕か交換かを早めに見定めることが重要です。
例えば、窓枠のシーリングの劣化を修繕しなかったために、窓枠自体が腐食、漏水を起こし、修繕により多額に費用がかかることなどがよく起こります。

2.修繕費を常に確保しておく
家賃収入の一部を修繕費として常にプールしておくことで、急な修繕に対応ができます。

「家賃下落リスク」と対処法

家賃下落リスクの要因には主に次のことが考えられます。

a.建物の老朽化
b.建物が清潔に保たれていない
c.近隣に大規模な新しいマンションの建設
d.住環境が悪くなる工場などの建設
e.経済状況の悪化
f.近くの学校(大学や専門学校など)が移転し、それに伴い近隣に住んでいた学生が離れる
g.集中豪雨などによる浸水
f.住人の自殺や孤独死

すべての家賃下落リスクをカバーすることは難しいですが、対処法としては主に次の3つがあります。

1.建物の早期の維持管理・修繕
2.付加価値を増やすリノベーション
(例:楽器可、ペット可、共通の趣味でつながる共有スペースの設置など)
3.高齢者や単身者が孤独死をしないように定期的な訪問

などがあります。

「災害リスク」と対処法

近年、地震・台風・集中豪雨など、災害が非常に多くなっています。
地震による建物の基礎破損、地盤沈下による建物の傾き、強風による屋根材の破損、集中豪雨による床下・床上浸水などで建物に大きな影響が及んでしまいます。

災害リスクの対処法ですが、主に次の6つがあります。

1.建物の火災保険に加入し、風水害リスクに対応したオプションをつける
2.排水溝につまったゴミや枯葉などを定期的に取り除き、排水のオーバーフローを防ぐ
3.屋根を瓦材からスレート材、ガルバリウム鋼板などに替える
4.屋上防水を早めにやり直す
5.火災などの二次被害を防ぐために、ごみなどを置いたままにしない
6.購入前であればハザードマップを確認して、洪水リスクのあるエリアを避ける

などが重要です。

「火災・事故リスク」と対処法

火災・事故は収益を得られないだけでなく、入居者の安全が脅かされる面でも、避けたいリスクの一つです。
特に、木造の集合住宅などは他の構造の建物に比べて火災リスクが高く、しっかりとした対策が必要です。

火災の対処法としては主に次の6つがあります。

1.建物の火災保険に大家として必ず加入
特に、新規加入時や更新時にブランク期間(加入していない期間)が生じないようにすることが大切です。
まさかというときに災害は起きるものです。
2.賃借人にも「借家人賠償」を含んだ火災保険の加入を義務づけること
3.建築時に防炎・不燃系の資材を用いること
4.火災報知器、消火器などを必ず設置すること
5.避難器具などのメンテナンスを怠らず稼働できるかを確認しておくこと
6.ごみなどを置いたままにしない

事故の対処法としては主に次の2つがあります。

1.手すりの設置、防犯ブザーの設置、段差の解消など
2.防犯カメラを設置し、エレベーターがある物件の場合は監視センターと常時通話できる機能をつける

などが挙げられます。

「管理会社の倒産リスク」と対処法

すべての業務を管理会社に任せていた場合、管理会社が倒産してしまうと、賃借人との関係が途絶えてしまう可能性があります。
貸主業務代行やサブリース業を任せていた場合は、家賃の集金さえ支障をきたしてしまいます。

対処法として、次の3つがあります。

1.管理会社に業務を丸投げしないこと
建物管理や、入退去サポート業務のみを任せるのが安心です。
2.管理会社に定期的なレポートを要求し、きちんと業務が行われているかをチェックする
3.管理会社の選定を慎重に行う
複数の会社より見積りをとり、会社のホームページやSNSなどでの評判や口コミ、調査会社などで実態を確認し、担当者との相性なども含め、総合的に判断をして決めましょう。

まとめ

大家さんは、傍から見ると不労所得で楽な仕事に見えるかもしれませんが、意外と気苦労の多い仕事です。
今回は、特に多いと思われる7つのリスクとその対処法をまとめました。
共通して言えるのが、事前にリスクを想定した早めの対策が重要ということです。また、管理会社と情報を共有し、共にリスクに対処するという姿勢が大事になります。
上手に、リスクやトラブルに対応し、充実した大家さんライフが送りましょう。

監修:尾嵜豪
profile

株式会社ウィンドゲート代表取締役。不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士。
特に富裕層の個人及び法人のお客様、個人事業主のために、都内マンション、一戸建て、住居用物件、事業用物件、投資用物件を多数20年以上にわたって仲介してきた実績をもつ。
WEBメディアを中心にコラムを多数執筆、セミナーも数多く開催している。

この記事を書いたスタッフ

OWNERS.COM編集部