その他
2020.07.29
生まれ育った地元で就職して稼ぐようになり、税金を納めて死ぬまでずーっとそこで暮らす……というのであればいいのですが、実際には大学進学や就職を機に地元を離れる方も多いことでしょう。
サラリーマンの皆さんは住民税も天引きされていますよね。
自営業の方は年に4回納めていると思います。
その住民税は、生まれた地元は関係なく現在の住民票が置かれている自治体に納めていると思います。
ふるさと納税は『自分が払う住民税は自分の地元や自分の「ふるさと」に納めたい!』という思いを実現する仕組みとして2008年から始まりました。
「ふるさと」と銘打ってはいますが、この制度で納税できるのは生まれた自治体に限りません。
「第二のふるさと」から個人的に愛着のある自治体まで、日本全国どこの自治体にも納税できます。
とはいえ住民税の納税先を変更できるだけでは、よほどその自治体に愛着のある方くらいしか、わざわざ手続きまでしてふるさと納税はしないでしょう。
では、なぜ皆さんはふるさと納税を利用するのでしょうか?
それは、ふるさと納税をすれば自治体からお礼として返礼品がもらえるからです。
返礼品は、ご当地のお肉・果物などの食品から地域の伝統工芸品まで多種多様!
住民税の「納税先の変更」といいましたが、厳密には自治体への「寄附金」という扱いになります。
そしてこの寄附金に対して税額控除が適用され、寄附した金額だけ現住所に納める住民税が少なくなるという仕組みになっています。
(国税部分にも関係してくるので厳密には違うのですが、だいたいの認識として抑えておくと理解しやすいと思います。)
尚、ふるさと納税した額(=寄附金)のうち、一律2,000円だけは自己負担となり純粋な寄附となります。
制度運営の手数料的な意味合いもあるのでしょう。
ふるさと納税により翌年の住民税が控除(減額)される金額には上限が設けられています。
ふるさと ”納税” というくらいですから、納税義務のない人はそもそもふるさと納税の恩恵を受けることはできません。
逆に高額納税者はそれだけ納税額も多いので、ふるさと納税枠も増えていきます。
納税額の上限は扶養人数や医療費控除等を考慮して決まるので、年収がいくらだから上限がいくらまでと一概に判断することはできません。
ご自身のふるさと納税上限がいくらなのかは、ふるさと納税の各種サイトでシミュレーションできるようになっているので試してみてください。
ちょっと上限を超えるくらいであれば、純粋に寄附をしたと思えばいいのでないかと個人的には思います。
平均的(?)な独身会社員の場合、寄附上限がどのくらいになるのか見てみましょう 。
年収500万円だと5.9万円、年収1000万円になれば17.6万円が寄附上限となります。
これだけの金額をふるさと納税を利用して寄附した場合、どのくらいお得になるのか具体例で考えてみましょう。
Aさんのプロフィール
現住所:横浜市
出身地:新潟市
婚姻:独身
職業:会社員
年収:500万円(毎年の住民税額は約250,000円)
Aさんは地元である新潟市へ2019年12月31日に5万円の寄附をしました。
返礼品として下記の3つ(5万円分)を選びました。
Aさんは住民税を毎年250,000円払っています。
ふるさと納税として新潟市に5万円払ったので、2020年度の横浜市に納める住民税は48,000円(5万円 ― 自己負担分2,000円)を引いた202,000円になります。
(厳密には2019年分国税の4,800円還付、2020年度住民税の43,200円控除となります)
つまり、上記の返礼品を自己負担分の2,000円で購入できたことになるのです。
住民税を前払いしたら、素敵な商品がもらえちゃいました!という状態です。
めちゃくちゃお得ですね!
もっと高収入の方であれば、納税額が多くなりますので、ふるさと納税できる金額もその分多くなります。
例えば、独身会社員で年収1000万円の方であればふるさと納税枠は176,000円になります。
先ほどの新潟市の例と合わせれば、50,000円分の返礼品に120,000円分の返礼品を追加して合計170,000円分の返礼品を自己負担2,000円で受け取ることができるという事です。
年収が高くて返礼品の数が増えても自己負担は2,000円のまま。
しびれるほどにお得です。
ふるさと納税をするなら、ぜひ上限まで使い切りましょう。
大手ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」で検索をしてみたところ、なんと2880万円のふるさと納税を募集している自治体がありました。(2020年7月現在)
2880万円を寄附するには、独身会社員の場合は年収6億4000万円必要です。
果たして日本に何人いるのかという疑問もありますが。。。
ちなみに返礼品は、
『鹿児島県屋久島町 屋久杉テーブル(幅135cm*長181cm*厚7.5cm)2880万円』
でした!
老舗の職人さんが貴重な屋久杉を丹精込めて加工しているそうです。
いやー、恐れ入りました。
その他、高額な返礼品としては、以下のようなものがあります。
日本刀、甲冑、そして大量の米!
大名か!?とツッコミを入れたくなりますね(笑)
返礼品もピンからキリまであります。
ふるさとチョイスでは、約24.5万件(2020年7月現在)の返礼品を選ぶことができます。
以下に、金額帯と件数を抽出してみました。
これを見ると、大体の返礼品は10,000円~30,000円に収まっていることがわかりますね。
日本国民の平均年収から考えても3~5件の注文が平均的ということになりますでしょうか。
「ふるさと納税やってみたいな…」と思い始めてきた方のために、どうやってふるさと納税をすればいいのか手順を追って解説しましょう。
ワンストップ特例とは
以下の条件をすべて満たせば、ふるさと納税の確定申告が不要になるという制度です。
【条件】
①もともと確定申告不要の会社員
②一年間の寄附先が5自治体以内
③ふるさと納税のたびに、自治体に申請書を提出する(翌年1月10日必着)
今回のポイント
・ふるさと納税をすると、自己負担2,000円で様々な返礼品がもらえる
・ふるさと納税には上限がある
・確定申告が必要(会社員はワンストップ特例を活用)
※本記事はマネーオンラインの過去記事(2020/07/29公開)より転載しています。