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不動産投資

2022.02.10

【連載:不動産投資は購入してからがスタート!意外と知らない賃貸管理の基本】③募集業務(媒介)委託の種類と選び方

【連載:不動産投資は購入してからがスタート!意外と知らない賃貸管理の基本】③募集業務(媒介)委託の種類と選び方

この記事の目次

媒介契約の種類と違い

賃貸住宅などの入居者募集するにあたって、不動産会社に媒介(仲介)を依頼する場合「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類の契約があります。

媒介契約内容の違いは以下の通りです。

契約の種類委託先レインズへの
登録
依頼者への
報告義務
契約期間自ら入居者を
見つけた場合
一版媒介複数可任意任意任意媒介不要
専任媒介一社のみ媒介契約後
7営業日以内
2週間に
1回以上
最長3カ月媒介不要
専属専任媒介一社のみ媒介契約後
5営業日以内
1週間に
1回以上
最長3カ月媒介必須

一般媒介契約

【メリット】
一般媒介契約は複数の不動産会社に媒介(仲介)を依頼でき、広範囲に物件情報が届く可能性が高いです。そのため、1社だけでは賃貸募集の営業力に不安がある場合、営業力の強い別の不動産会社へ依頼することができます。

【デメリット】
1社専任ではないことから他社が決めればいいという意識が働くこともあり、募集に注力されない可能性があります。また、不動産業者間で物件情報を共有するシステムであるレインズへの登録義務や委託者への報告義務がないため、本当に募集しているのか、また募集状況の確認が難しくなってしまう可能性もあります。さらに、物件への申込みなど状況が変わった都度、貸主が他の依頼先にその状況を知らせる必要もあり、やや手間がかかります。

専任媒介契約

【メリット】
専任媒介契約は媒介(仲介)を依頼できる不動産会社が1社のみですが、貸主自らが入居者を見つけた場合は媒介を介さず直接入居者等と契約することが可能です。
また、専任媒介は受託した不動産会社は媒介契約後7営業日以内のレインズへの登録義務と依頼主への2週間に1回以上の状況報告義務があり、契約期間は最長3カ月間です。

1社専任であり入居者が決まれば確実に仲介手数料が入ることから、募集に注力してもらいやすくなります。さらに委託先が1社であれば貸主が他社に状況を知らせることが不要なため、手間がかからず楽になります。

【デメリット】
委託した不動産会社の営業力に不安がある場合でも1社専任になるため3カ月間は他社へ依頼できない点です。そのため依頼先の選別が重要になります。信用や実績のある依頼先であれば専任媒介としたほうが貸主としては楽になります。

専属専任媒介契約

【メリット】
専属専任媒介契約は媒介を依頼できる不動産会社が1社のみですが、貸主自らが入居者を見つけた場合でも媒介業者を通さなければなりません。また、レインズへの登録は媒介契約後5営業日以内、依頼主への報告義務は1週間に1回以上となり、専任媒介よりも不動産会社の義務は厳しくなりますが、その分依頼する側は安心できます。
貸主自ら入居者を見つけた場合でも必ず仲介手数料が発生しますが、自ら入居者を見つけること可能性が低いようであれば特にデメリットにはなりません。

専属専任媒介と専任媒介とでは委託側からするとそれほど違いがないため、信用がおける不動産会社に依頼するのであればどちらの契約形式でもよいでしょう。

貸主代理契約による募集

賃貸住宅の募集では上記のような媒介契約による形式の他に「貸主代理契約」という契約を不動産会社と結ぶことによって入居者を募集する方法もあります。

貸主代理契約では賃貸物件の貸主としての地位を代理という形で不動産会社に移譲します。不動産会社を貸主代理とすることで賃貸募集では媒介契約が不要となり、募集業務だけでなく、賃貸借契約の締結や借主に対して貸主が主張できることも不動産会社がその権限で行うことができるようになります。
例えば貸主代理となった不動産会社が賃貸借契約書に貸主として記名・捺印することができ、一定の権限のもと入居者に対して利用上の注意や請求などが可能になります。

本来の貸主である不動産オーナーが遠方にいる場合などは契約書への署名捺印で時間や手間のかかり緊急時の対応に時間差が生じることもあるため、貸主代理契約が活用されることもあります。

メリットはこのように手間が省ける点です。ただし代理となった不動産会社が貸主としての権利の濫用がないように契約内容をきちんとチェックすることが大切になります。特に本来の貸主への相談と報告をどういった場合にしなければならないかという点に注意しましょう。

なお、貸主代理契約はサブリース(転貸)契約と異なり、入居者がない場合の家賃保証等はありません。

媒介(仲介)手数料と広告宣伝費

賃貸募集の媒介で入居者が決まった場合、成功報酬として支払う仲介手数料は、宅建業法上では上限を「貸主または借主からの合計が賃料の1カ月分」と定めています。つまり、借主または貸主のいずれか一方から1カ月分、もしくは双方から0.5カ月分ずつ受け取ることもできるのです。しかし、現実では広告宣伝費(AD)や業務委託料という名目で仲介手数料以外に請求されるケースが非常に多く、こうした費用は基本的に貸主の持ち出しとなります。

例えば不動産会社が借主から仲介手数料として賃料の1カ月分を受け取った場合、本来は貸主から仲介手数料を受け取ることはできません。しかし、特に入居者が決まりにくい物件や競合物件の多い地域の物件では、借主を見つけた不動産会社への報酬として広告宣伝費等が賃料の2カ月分や3カ月分が支払われるケースもあります。借主候補を持つ不動産会社としては報酬が多いほうがいいため、広告宣伝費等が多い物件を優先的に紹介する傾向があり、結果的にこうした費用をある程度貸主が負担しないと入居者が決まらないという実態があります。

まとめ

実際は賃貸物件の管理を委託している不動産会社に募集業務も任せることが多くなっていますが、媒介契約の種類は選ぶことができます。物件の管理委託契約に賃貸募集の条項が入った包括契約となっているケースでも媒介の内容は原則として選択することができます。

不動産のオーナーとして、賃貸募集と管理委託は別物であり、募集(媒介契約)の内容は選べるということを覚えておきましょう。

秋津 智幸
tomoyuki_profile

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。
公認不動産コンサルティングマスター 、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP、ファイナンシャルプランニング技能士2級)。

横浜国立大学卒業後、神奈川県住宅供給公社に勤務。その後不動産仲介会社等を経て、独立。現在は、自宅の購入、不動産投資、賃貸住宅など個人が関わる不動産全般に関する相談・コンサルティングを行う。その他、不動産業者向けの企業研修や各種不動産セミナー講師、書籍、コラム等の執筆にも取り組んでいる。

この記事を書いたスタッフ

OWNERS.COM編集部