不動産投資
2021.11.15
家賃債務保証会社を選ぶポイントとして6点あります。今回は前編として、まず4点をご紹介します。
一つ目は、家賃債務保証会社のコンプライアンス遵守への意識の高さです。
順法意識の低い家賃債務保証会社は入居者の退去時において様々なトラブルを発生させる傾向が見られます。
具体的には、家賃滞納を理由に家賃債務保証会社がアパートの鍵を取り換えて、入居者が入れないようにする、いわゆる「追い出し行為」や、家賃債務保証会社が管理会社から鍵を借りて、部屋の中の荷物を勝手に処分することが社会問題となっています。
かつては、その背景として急速に発展する家賃債務保証業界の法整備が追い付いていない点が挙げられていました。
そこで、国交省は2017年10月より、家賃債務保証業者登録制度を公布しました。任意ではあるものの一定の要件を満たす家賃債務保証事業者を、国に登録する制度を開始し、2021年7月9日の時点では81社が登録しています。
登録業者は政府によるガイドライン等の指針にアクセスし易いことから、コンプライアンス遵守の意識は必然的に高まるはずです。したがって、登録業者であるかを確認することも重要なポイントになります。
二つ目は、立替え時期の対応力、つまり支払いのサポート力です。
気の早い一部の家賃保証会社は、家賃の約定日から10日以内に立替請求を依頼しないと保証できない規定でサービスを運用しています。そのため、多忙な大家さんの場合、期限が過ぎて家賃保証会社に請求したものの、保証されない事態もよく見られます。
こういったケースを踏まえ「請求期限の長さ」も保証会社を選択するポイントになります。
三つ目は、家賃債務保証会社による入居者のニーズに応えた多様な支払方法への対応力です。
最近では、クレジットカード会社と連携した口座振替や、不動産会社収納代行(口座振替サービス)なども主流になってきています。これらの振替サービスが整っている家賃保証会社は契約者の利便性向上や、滞納抑止にも繋がっていく筈です。
さらに今日、銀行口座を介さず給与をPayPay、LINEペイ、そしてメルペイといった資金移動業者のアカウントに直接的に振り込む、いわゆる「給与デジタル払い」の解禁が近いと言われています。こうした資金移動業者を介した家賃の支払いに対するニーズは外国人居住者に切実です。
現実問題として、銀行の口座開設は条件だけでなく、その手続きにおいても外国人にとってハードルの高い作業です。したがって、外国人居住者を念頭に入れた場合、資金移動業者を利用した支払方法も今後注目されるはずです。
四つ目は、家賃債務保証会社によるサービス内容の範囲です。
家賃債務保証業界が発展するにつれて、本来の家賃債務保証以外のサービスも多様化しつつあります。こうした家賃債務保証以外のサービスが大家のニーズに対応できるか否かを確認する必要があります。
例えば、家賃債務保証会社が行う代表的な付随サービスとして、違約金関連費用、原状回復費用、法的対応費用などの保証が挙げられます。こうした家賃債務保証以外の保証サービスのほかに、入居者が外国人の場合、生活サポートなどを提供する会社もあります。もちろん、家賃保証会社の中には家賃のみ保証する会社もあり、こうした会社を利用することでコストを抑えることは可能です。大家は自力で対応できる範囲はどこまでか、自分が所有する物件にどのような入居者を受け入れるのか等をよく検討した上で、家賃債務保証会社によるサービス内容の範囲を理解する必要があります。