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2021.11.01

老後の不安はこうやって解消しよう!30代から考えたいお金のことをFPが伝授

老後の不安はこうやって解消しよう!30代から考えたいお金のことをFPが伝授

老後2000万円問題が話題になって早2年。
老後の生活不安を払しょくできるだけの対策ができていなかったり、思うように貯蓄ができなかったりと、お金の不安を抱えている人は少なくないはず。
そこで、30代40代の現役世代が考えたいお金のアレコレについて、FPの大竹のり子さんに教えてもらいました。

お金が貯まらない人の特徴とは? 貯蓄の成功に必要な考え方

編集部:

上手に貯蓄できないとお悩みの人は多いと思います。お金が貯まる人と貯まらない人には、それぞれどのような特徴がありますか?

大竹氏:

先取り貯蓄している人はきっちり貯めていて、そうではなく成り行き貯蓄の人は上手くいかないケースが多いですね。成り行き貯蓄というのは、お給料が振り込まれたあとに、貯蓄分を引かないまま生活費を使って、残ったお金を貯蓄していくこと。これだと月ごとに貯蓄に回せるお金が変動しますので、計画を立てるのが難しいです。

編集部:

お金を貯めるためには、毎月決まった額を先に引いて貯蓄に回すことが重要ということですよね。

大竹氏:

そうですね。毎月自動で天引きして貯蓄用の口座に移動できるように仕組み化するといいと思います。お金が手元にあると、旅行費用に充てようとか、今月はご祝儀が重なったからとか、先月はたくさん貯蓄に回せたから今月はスキップしようとか、自分に言い訳をしてしまいがちです。自動的に天引きすると、そうした言い訳をせずに済みます。

編集部:

確かに、貯蓄があるとつい手を出してしまいかねませんよね。そう考えると“貯蓄の崩しにくさ”も大事になるでしょうか?

大竹氏:

そうなんです。もし会社に財形貯蓄制度があるようでしたら、毎月、給与が振り込まれるより先に決まった額が天引きされますし、定期預金よりも引き出すのが面倒なので、つい使ってしまうという人にはおすすめです。また、つみたてNISAやiDeCoを活用すれば、自動で天引きされるだけでなく、貯蓄に回したお金を投資信託などで運用することもできます。iDeCoは60歳まで崩せませんから、老後資金をしっかり準備したい人にはうってつけです。

現役世代は「収入アップ」と「資産運用」に積極的に取り組もう

編集部:

では、老後にお金で困らないために、30代40代のうちにやるべきことは何でしょうか?

大竹氏:

大きく2つあると思います。ひとつは「年を重ねてもお金を稼げる準備をしておくこと」です。いまの時代は、50代、60代まで働けるとはいっても収入は先細りする場合がほとんど。そのため、50代、60代になっても収入を落とさずに働き続けられる方法を考えること、また、同時に目の前の収入を増やすことが大切です。将来を見据えて、収入アップのためのスキルアップや転職、独立などを意識することが大切ですね。

もうひとつは「お金に働いてもらうこと」です。貯蓄の一部でもいいので、運用をして増やしていくことです。早いうちに運用を始めたほうが経験を積めますし、長期で運用することでより効率よくリターンを増やせる可能性が高まります。

編集部:

簡単に言うと「お金をしっかり稼いで、稼いだお金は運用しましょう」ということですよね。

大竹氏:

その通りです。コロナ禍で実感した人も多いかもしれませんが、人生何が起きるか分かりませんし、いまは安定しているようにみえる企業もいつどうなるか分かりません。変化が大きい時代ですから、収入源が一か所しかないというのは、崖からロープ一本でぶら下がっているようなもの。そのロープを太くしたり、2本3本増やしておいたりすれば、安定感が増しますよね。お金の稼ぎ方もそれと同じことだと思います。
節約を頑張るけど、運用に目を向けないというのは、ちょっともったいないですし、減りはしないかもしれませんが、増えもしないので、ずっと不安は残り続けるはずです。

老後2000万円不足問題の不安は3つの対策で払しょく

編集部:

人生100年時代の中で、現役のいまどのような対策していくべきでしょうか?

大竹氏:

ちょうど2年前に「老後資金2000万円不足問題」が取り沙汰され、不安が強まった方も多いのではないでしょうか。そもそもこの問題は、金融庁の報告書を発端にしています。その報告書に記載されている計算では、確かに社会保障給付以外の部分で、老後30年間に約2000万円不足するかたちになっています。ただし、前提となっているのは、次のような条件です。

・夫65歳、妻60歳の時点で夫婦ともに無職である。

・30年後(夫95歳、妻90歳)まで夫婦ともに健在である。

・その間の家計収支がずっと毎月5.5万円の赤字※である。

※総務省「家計調査」(2017年)における高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)の平均。

また、毎月の消費支出は23万5,477円で計算されていますから、もしそこまでの支出がないようでしたら、2000万円の不足にはならないでしょう。逆に国民年金だけしか加入していないなど社会保障給付が少なければ2000万円では足りないかもしれません。あくまでも老後にどれくらいの収入や支出が見込まれるかによって変わってきます。

いずれにしても、対策としてできることとしては、「収入を増やすこと」「支出を減らすこと」「手元にあるお金に働いてもらうこと」の3つに集約されます。大事なのはこのうちのひとつだけ極端にやるというのではなく、得意不得意はあっても3つとも、それぞれ並行して取り組むこと。

運用が大好きな人も支出を減らした方がいいですし、節約一辺倒の人も運用するに越したことはありません。老後に不安に感じるようになったら、それをきっかけだと考えて、この3つの対策に取り組んでみていただけたらと思います。

大竹のり子
profile

ファイナンシャルプランナー(CFPⓇ認定者・1級FP技能士)
株式会社エフピーウーマン代表取締役

正しいお金の知識かを伝えることで多くの女性の人生を支援したいという想いから、2005年に株式会社エフピーウーマンを設立。現在、経営の傍ら、講演、雑誌、テレビなど多くのメディア出演を通じ、お金の知識を学ぶ大切さを伝えている。

この記事を書いたスタッフ

OWNERS.COM編集部