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2024.07.18

不動産クラウドファンディングが社会貢献にもなる理由 ~空き家問題の解決策

不動産クラウドファンディングが社会貢献にもなる理由 ~空き家問題の解決策

近年、日本全国で空き家問題が深刻化しており、リノベーションや古民家の再生をするための資金調達手段として、不動産クラウドファンディングが注目されています。この記事では、不動産クラウドファンディングが空き家問題に貢献できる理由や、「空き家×クラウドファンディング」の今後の見通しを解説します。ぜひ参考にしてください。

深刻化する「空き家問題」

総務省統計局『平成30年住宅・土地統計調査 調査の結果』によると、2018年時点で空き家の軒数は約846万戸、空き家率は全住宅の13.6%にも達しました。その後、2023年2月の国会*でも、空き家が増加し続けている状況が議論されています(*衆議院 会議録『第1号 令和5年2月20日(月曜日)』)。

ここまで空き家が増えた背景や、空き家を放置するリスクのほか、2015年に成立した「空き家対策特別措置法」について見ていきましょう。

空き家を放置するリスク

空き家を放置すると、建物の倒壊リスクが高まるとともに、犯罪発生の温床となる恐れがあります。

 

たとえば、管理が行き届いていない空き家は、放火や不法投棄のターゲットにされやすくなります。閉め切られた雨戸や伸びた草木によって人目につきにくくなり、犯罪を誘発するのです。

 

火災が発生した際に周囲に気づかれなければ、大規模火災へと発展する可能性もあるでしょう。また、不法投棄された場合、犯人が特定されなければ空き家の所有者が処分費用を負担しなければなりません。このように、空き家の放置にはさまざまなリスクがあります。

空き家が増えた背景

空き家が増えた背景には、地方の人口減少や、住宅用地の税金優遇が挙げられます。若い世代が都心に集まることで、地方にある家を継ぐ人がいなくなり、空き家になるケースも珍しくありません。

 

さらに、住宅が建っている土地の固定資産税額は6分の1に軽減されるため、優遇措置を受けるために空き家を解体しない人も多くいます。

「空き家対策特別措置法」成立で規制強化へ

空き家が放置される状況を解決するため、国は「空家等対策特別措置法」を2015年に施行しました。この法律にもとづき、倒壊の恐れや衛生上の問題があると判断された空き家は、行政から「特定空家」に指定されることとなりました。

 

「特定空家」に指定されると、固定資産税の軽減措置を受けられなくなります。これまで6分の1の税額だったところ、通常どおりの金額を納税する義務が生じます。空き家を放置せず適切に管理することが、国全体で求められているのです。

不動産クラウドファンディングが空き家問題に貢献できる理由

不動産クラウドファンディングが空き家問題に貢献できる理由として、主に以下の3つが挙げられます。

 

  • リノベーションや古民家再生のための資金調達ができる
  • 融資が難しい物件でも資金を集められる
  • 社会貢献性を重視する投資家が多い

 

詳しく見ていきましょう。

 

リノベーションや古民家再生のための資金調達ができる

空き家対策として有効な方法のひとつが、リノベーションを行い、設備や内装を新しくすることです。物件の価値が高まれば、第三者へ貸し出したり、他の用途で活用できたりする可能性があります。

 

しかし、リノベーションを行うには相応の費用がかかるため、すぐに用意するのは難しい場合もあるでしょう。不動産クラウドファンディングを活用し、多くの投資家で資金を出し合えば、空き家を有効活用しやすくなります。

 

融資が難しい物件でも資金を集められる

リノベーションやリフォームで多額の資金が必要な場合、現金一括ではなく融資を受ける人も多いでしょう。しかし、金融機関のローンでは融資対象の物件が審査されます。現行の建築基準法への不適合や、築年数などにより、中には融資が受けられないケースもあります。

 

一方、不動産クラウドファンディングでは、古民家の再生などでも資金調達が可能です。融資を受けるのが難しい物件の場合、不動産クラウドファンディングは貴重な資金調達の手段といえます。

 

社会貢献性を重視する投資家が多い

不動産クラウドファンディングでは、それぞれのファンドに不動産オーナーが達成したい夢や目標が込められており、プロジェクトに賛同する投資家が集まるのが特徴です。

 

利回りだけでファンドを選ぶのではなく、社会貢献度の高いものを選ぶ人も多くいます。この特性は、空き家再生の資金調達に適しているといえるでしょう。

「空き家×クラウドファンディング」の今後

国が空き家再生を推進しているほか、不動産クラウドファンディングの市場規模が拡大していることから、「空き家×クラウドファンディング」のプロジェクトは今後も増えていくと予測できます。

 

国が空き家再生を推進している

国土交通省は、地方創生につながるものとして、不動産クラウドファンディングによる資金調達を推進しています。不動産特定共同事業法の改正により、小規模の不動産業者も不動産クラウドファンディングに参入しやすくなりました。空き家や空きテナントの賃貸・売買が進み、地域の活性化に繋がっています。

 

不動産クラウドファンディングの市場規模は拡大傾向

日本における不動産クラウドファンディングの市場規模は、過去10年に渡って拡大してきました。大きなきっかけとなったのは、東日本大震災の復興支援や東京オリンピックの影響でしたが、その後も多くのプロジェクトが進行しています。

 

法整備やプラットフォームの整備はさらに進むことが推測されるため、今後も多様なファンドが公開されることでしょう。

不動産クラウドファンディングで資産運用しながら社会貢献

日本では多くの空き家が放置され、深刻な社会問題となっています。空き家問題を解決するには、建物を活用することが重要であり、そのための資金調達手段として不動産クラウドファンディングは有効といえます。

 

国も空き家の再生を推進しており、不動産クラウドファンディングを利用したプロジェクトは今後も増えていくことが期待できるでしょう。

 

社会問題の解決にも寄与する不動産クラウドファンディングで、空き家再生のファンドを探し、投資を始めてみてはいかがでしょうか。

この記事を書いたスタッフ

OWNERS.COM編集部