クラウドファンディング
2024.07.01
公務員は副業が禁止されているため、不動産クラウドファンディングも違法になるのではないかという疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。結論から言うと、公務員が不動産クラウドファンディングをすることは違法ではありません。この記事では、公務員でも不動産クラウドファンディングが違法にならない理由を詳しく解説します。公務員が不動産クラウドファンディングを始めるメリットや注意点も解説しているので、資産形成に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
公務員は法律によって副業が禁止されています。国家公務員法第百三条では「自ら営利企業を営んではならない」、地方公務員法第三十八条では「自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない」といった記載があります。
しかし、不動産クラウドファンディングを含む投資は、これらの法律で規制されている副業に該当しません。加えて、国家公務員法と地方公務員法で資産運用に関する規制は定められていないため、公務員でも不動産クラウドファンディングをしても違法にならないといえます。
国家公務員法や地方公務員法で、不動産クラウドファンディングを含む投資自体は禁止されていないものの、場合によっては違法行為になる可能性があります。たとえば、不動産クラウドファンディングに関する商材を販売するなどして利益を得ると、副業と見なされてしまうのです。
また、国家公務員法では以下の内容が義務付けられています。
※参考:e-Gov法令検索『国家公務員法第九十九・百・百一条』(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000120)
不動産クラウドファンディングをする際は、これらの違反行為に該当しないかをチェックしておきましょう。また、出向先で投資に関する規制を設けている可能性もあるので、事前に就業規則を確認しておくことも大切です。
不動産クラウドファンディングには、少額から始められたり運用に手間がかからなかったりするメリットがあります。ここでは、公務員が不動産クラウドファンディングをするメリットを解説します。
不動産投資にかかる初期費用は、物件価格の10~30%とされています。
健美屋の調査では、2024年1月の不動産投資用物件の平均価格は一棟アパートが7723万円と公表されています(健美家『収益物件 市場動向 マンスリーレポート 2024年1月期』)。したがって、一棟マンションを投資物件とする場合、初期費用の目安は約770万~2320万円です。
一方、多数の投資家から資金を集める不動産クラウドファンディングでは、1人で不動産投資を始めるより初期費用を安く抑えられます。1万円からの少額投資ができる商品もあるので、費用を抑えながら資産形成を始めたい方におすすめです。
不動産クラウドファンディングでは、不動産の取得や運用は事業者にすべて任せることとなります。
一方、不動産投資では銀行の融資を受けるために、金融機関に書類を提出したり審査を受けたりしなければならず、実際に不動産を取得するまでに時間がかかる傾向があります。不動産を取得したあとも、管理・運用が必要となるので、忙しい人にとっては大きな負担になることもあるでしょう。
不動産クラウドファンディングであれば、大きな手間がかからないので、公務員の仕事と両立することも可能です。
不動産クラウドファンディングの利回りは約3~8%が相場とされています。一方、日本銀行金融機構局によると、2022年の普通預金の平均年利率は0.001%です。
利回り5%の不動産クラウドファンディングに毎月1万円投資しながら3年間運用すると2.8万円の収益が得られることになります。一方、毎月1万円を普通預金に回した場合、3年間で得られる利息は4~5円ほどです。
このように不動産クラウドファンディングでは、普通預金と比べて大きなリターンを得られる可能性があります。老後のための資産形成をしたい方は、公務員の仕事で得られた給料を不動産クラウドファンディングで運用するのがおすすめです。
不動産クラウドファンディングには、元本割れのリスクや確定申告が必要になる場合がありします。ここからは、公務員が不動産クラウドファンディングをする際の注意点を解説します。
不動産クラウドファンディングの商品のなかには、家賃収入などの定期的な収益を得られるものがあります。しかし、想定より入居率が低くなることで、予想していた収益を得られずに元本割れする可能性があります。
また、不動産クラウドファンディングの運営事業者が倒産してしまうことで、投資金額が返還されず元本割れになるリスクも考えられるのです。
元本割れリスクを抑えるには、事前に運営事業者の運用実績や経営状況などを確認したり、利回りの高さだけで投資判断をしたりしないようにしましょう(⇒詳しくは『不動産クラウドファンディングで「元本割れ」になるケースとは?リスクの回避方法も紹介』へ)。
不動産クラウドファンディングでは、現物の不動産投資のようにレバレッジ(元手の何倍もの資金で利益を狙える仕組み)を利用して収益を得ることができません。
不動産投資では、基本的にローンを組んで物件を購入するので、自己資金の何倍もの金額を運用することとなります。そのため、少額資金であっても大きな利益を期待できるメリットがあります。
一方、レバレッジをかけられない不動産クラウドファンディングでは、コツコツと利益を狙うのが基本です。レバレッジで効率的に投資をしたい人には向かないといえますが、自己資金以上の損失を受けるリスクがないことは大きな利点となります。
不動産クラウドファンディングは、効率よりもリスクを抑えることを優先しながら資産を運用したい方におすすめです。
不動産クラウドファンディングで一定の利益を得たときは、確定申告をしなければなりません。
不動産クラウドファンディングには主に「匿名組合型」と「任意組合型」の2つがあります。一般的に採用されているのは「一口1万円から」と少額で始められる「匿名組合型」です。
所得税法上「匿名組合型」の分配金は雑所得として扱われ、課税対象となります。雑所得などの「給与所得以外の所得」の合計が20万円を超えたときは、確定申告が必要となるので注意が必要です。
雑所得は収入から経費を差し引いた金額になり、この収入には不動産クラウドファンディングの運用会社に源泉徴収された金額も含まれます。例えば、不動産クラウドファンディングの分配金を含む給与所得以外の所得金額が19万円であっても、源泉徴収額が2万円あると確定申告をしなければなりません。
なお、課税所得額によっては確定申告をすることで、源泉徴収された税金の還付を受け取れるケースがあります。不動産クラウドファンディングの分配金は、支給時に一律20.42%の税率で源泉徴収されますが、給与所得や雑所得などを含む課税所得額が695万円を下回る場合は適用される税率が低くなり、払い過ぎた分が返ってきます。
申告義務がない人でも、確定申告をすることで還付金を受け取れる可能性があるので、税金を払い過ぎていないかチェックしてみましょう。(⇒詳しくは『不動産クラウドファンディングで「確定申告が必要な人」とは?会社にバレないための申告方法も紹介【税理士が解説】』へ)。
公務員は法律で副業が禁止されていますが、不動産クラウドファンディングを使った資産運用は違法ではありません。ただし、勤務時間内に不動産クラウドファンディングをするなどの行為は禁止されているので注意が必要です。
公務員の仕事と両立しながら手軽に資産形成を始めたい方は、不動産クラウドファンディングを検討してみましょう。