クラウドファンディング
2024.04.08
20代も半ばになり、交際相手がいると結婚を意識し始める人も多いことでしょう。しかし、経済的な事情で結婚に対し不安を持つ若者も少なくないといいます。今回は、そんな若者が結婚に向けてどのように結婚資金を貯めればよいか、事例を基にFPの小川洋平氏が解説します。
この記事の目次
大口弘さん(26歳男性・仮名)は地方にある大手メーカーに勤務しています。大卒で入社した大口さんは資材調達を担当し、人当たりもよく真面目な性格は社内でも評価されています。
そんな大口さんには25歳の彼女がいて、結婚を意識し交際しています。お互いの両親にもすでに面会していて、両家を行き来し良好な関係を築いています。しかし、そんな大口さんは経済的事情で結婚を躊躇していたのでした。
大口さんの月収は総支給で25万円、賞与も70万円程度です。ほとんど残業もなくこの給与は地方の20代後半の基本給としてはどちらかと言えば高いほうですが、自由に使えるお金はさほど多くはなく、貯蓄もほとんどありません。
結婚となれば結婚式に掛かる費用や、引っ越しや家具などを購入する費用なども必要です。また、結婚して子どもが産まれれば養育費や教育資金の積み立ても必要になります。
貯金もほとんどできていない自分がこのまま結婚しても大丈夫なのだろうかという不安があり、結婚に踏み切ることができないと言います。
厚生労働省の『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、サラリーマン(正社員)の月収は、20代前半で22.1万円、20代後半で26.2万円というデータがあります。この金額は給与の総支給額ですので、実際にここから社会保険料や税金を引くと、大体21万円程度になります。
大口さんの場合、家賃が5万円、食費が3万円、光熱費が2万円、日用品や消耗品が1万円程度、通信費が1万円、交際費が3万円、車の維持費に平均2万円、その他雑費で1万円程度と考えると、毎月恒常的に貯蓄できる金額は2万円程度となります。決して余裕を持って貯蓄できるお財布事情とは言えません。
業種や残業の有無によっても大きく異なるところではありますが、大口さんのように自身の経済的事情が要因で結婚に躊躇している若者は多くいます。
国立社会保障人口問題研究所『第16回出生動向基本調査』によると、結婚のハードル(独身でいる理由)として、結婚資金が最も大きな要因として挙げられ、男性側の結婚の障害として半数近くの47.5%の人が結婚における障害と考えています。
大口さんがすべきことは、2人の望む将来設計を実現するために、結婚までにいくら貯蓄が必要で、結婚後にいくら収入があればよいか、目標を具体化することです。目標を定めればやるべきことは以下の4つだけ。
収入を増やすために業務委託の仕事などを紹介するアプリで仕事を探したり、自分のスキルを売りに副業を始めたり、資格を取得したりスキルを身に着けて転職したりすることで収入を増やすことが可能です。
「ふるさと納税」を上手に活用すると、税金の負担を上手に減らしながら、二人の旅行や外食のために使ったり、食費の節約ができたりします。
スマートフォンを大手キャリアで契約しているのであれば、格安SIMに切り替えることで節約が可能ですし、生命保険などの保険料も見直すことでストレスなく必要性の低い支出を減らし、貯蓄できる余裕を増やすことができます。
できることをすべて行い、毎月貯蓄に回せる金額を増やしたら、「自動積立」など、毎月決まった金額を積み立てできるような金融商品を活用して、確実にお金を貯めていきます。
仮に新生活の費用と結婚式として、彼女が30歳になる年までの5年の間に500万円を貯めることを目標とするならば、年間100万円を貯蓄すればいいことになります。
副業等で収入を3万円増やし、家計の見直しで1万円支出を減らせばそれだけで年間48万円の貯蓄が可能です。あとは賞与を貯蓄にまわせば、特別なことをしなくても「5年で500万円を貯める」ことは十分可能です。
このように目標を定め、何をすれば実現できるかを考え、自分に合った方法で実行していくことができれば、現時点での収入が低くても、しっかりと資産を拡大させることができるのです。
結婚資金を貯めるための手段として、必要なときに必要な資金を確実に用意しておくことができる手段として「定期積金」や「個人向け国債」などがあります。
高い利回りを目指すのであれば、株式投資などの投資に挑戦するのもひとつの手。近年では「不動産クラウドファンディング」という手法も注目を集めています。これは多くの投資家が少額ずつお金を出し合い、不動産による賃料収入などの利益を得ることができる仕組みです。年利6%、7%などの高利回りの案件も多くみられます。
通常の不動産投資では初期投資額が高額ですが、不動産クラウドファンディングは「一口1万円から」など比較的少ない金額でも始めることができます。仮に不動産価格が下落しても一定程度までは事業者が損失を受け、投資家の出資分を保護するというシステムを採用している点も安心です。
ただし高いリターンを期待できる金融商品は相応のリスクが伴います。契約の内容や投資家保護の仕組みなどをしっかり理解することや、会社の財務内容が健全であるかを事前にしっかりチェックした上で問題ないと判断できれば、このような手法を一部活用してみるのもよいのではないでしょうか。