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不動産投資

2022.10.25

不動産投資をしているのはどんな人?年齢・年収・職種と投資目的

不動産投資をしているのはどんな人?年齢・年収・職種と投資目的

不動産投資家と聞くと、富裕層が数億円単位でお金を動かしたり、世の中の平均年収の何倍ものお金を稼いでいる姿をイメージする人が多いかもしれません。しかし、アンケートや統計を紐解いてみると、意外にも会社員の投資家が多く、1、2件の物件で着実に収入を増やしている姿がみえてきました。

40代から始める人が多い不動産投資

まずは不動産投資家の年齢をみてみます。

投資用不動産を保有する人たちの年齢をみると、最も割合が多いのは50代で37.7%、40代が27.5%で、この年齢層がボリュームゾーンであることがわかります。以下、60代は20.0%、30代は8.5%と続きます。また、意外に感じるかもしれませんが70歳以上の高齢者層は5.6%で、30代よりも少ないことがわかりました。

割合の変化を見ると、30代の8.5%から40代の27.5%と3倍以上に増えていることから、40歳前後が投資を始める人のタイミングといえそうです(野村不動産ソリューションズ「第13回不動産投資に関する意識調査」2021年)。

40代前後から割合が増える背景を考えてみると、まず収入や貯蓄額が増えることによって物件購入のためのまとまった資金を準備できるようになるのが、この年代のあたりなのだろうと推察できます。

出典:野村不動産ソリューションズ「第13回不動産投資に関する意識調査」2021年

また、手持ちの資金で足りない場合や1棟マンションなどを購入する場合などは、ローンを組むケースもあるため、自己資金が貯まっている、十分な年収と貯蓄がある、勤続年数が長い、といった点で、金融機関に対する個人の信用が高まり、ローンを組みやすくなるのもこの年代なのだと考えられます。

ちなみに、株式投資をしている30代は19.1%で、不動産投資をしている30代の2倍にのぼります(NRI「生活者1万人アンケート調査」2021年)。資金の準備や調達という点で、不動産投資は株よりもハードルが高く、見方を変えると、40歳くらいになると、株の他に不動産投資という新しい投資の手段が増えるということがわかります。

オーナーの約半分はサラリーマン大家

(写真=PIXTA)

次に、年収と職業についてみてみます。

野村不動産ソリューションズ「第11回不動産投資に関する意識調査」2019年のデータをみると、世の中一般のイメージ通り、不動産投資家の年収は平均より高く、8割以上が年収600万円超であることがわかりました(未回答の15.1%を除外して計算。以下同)。

ただ、驚くほど年収が高いというわけでもなさそうです。割合をもう少し詳しく見ると、1000万円以下が35.4%、1001〜2000万円が43.2%、2001〜3000万円が10.3%、3000万円超が11%。3人に1人は年収1000万円以下で、8割近い人が2000万円以下の人です。

職業については、会社員が48.7%で圧倒的に多く、公務員と教職員の3.9%を含めると過半数を超えます。

一方、経済的な余裕がある人が多く、世間一般のイメージとして不動産投資をしている人が多そうなオーナー経営者、会社役員、医師、弁護士、会計士などの専門職に就く人は、全て合わせても23.8%。このことから、不動産投資は実は身近で、一定の収入がある人にとってはハードルが低い投資であることがわかります。

少数の物件で着々と稼いでいる人が多い

(写真=PIXTA)

保有している不動産については、不動産の総額は、5000万円〜1億円未満が最も多く、26.9%。次に多いのが1億円から2億円で22.6%です。3000万円未満は15.1%、3000〜5000万円未満は7.9%、2億円以上の不動産を所有している人は27.5%となりました(野村不動産ソリューションズ「第13回不動産投資に関する意識調査」2021年)。

不動産の物件数は、1件が最も多く24.3%、2件が22.3%。一方、8物件以上保有している人も14.8%と多く、二極化している傾向がみられました。

年間の不動産収入は、500〜1500万円がボリュームゾーン。ただし、200万円未満が25.6%、200〜500万円が18.7%と、比較的少ない人も約半分を占めています。このことからわかるのは、不動産投資の裾野は広く、世間がイメージするような事業として本格的に投資している層がいる一方、投資金額を抑えて不動産を持つ人や、会社員の副業的に小規模で投資をしている人も多くいる、ということです。

老後の経済的な不安を解消したい

最後に、不動産投資を始めた目的をみてみましょう。

不動産投資をしている人に、不動産投資を始めた目的を聞いた調査では、資産運用が圧倒的に多く、67.3%にのぼります。次に多いのは、老後の年金対策で、18.5%。この2つで85.8%となり、多くの人がお金や収入アップを目的としていることがわかります(グローバル・リンク・マネジメント「不動産投資に対する意識調査」2021年)。これは、お金に関する不安が投資を始めた理由になっている、と読み替えても良いでしょう。

不動産投資を始めた目的グローバル・リンク・マネジメント「不動産投資に対する意識調査」2021年より。

世の中全体に向けた調査でも、現在の所得や収入や資産に満足している人は半分以下ですし、収入については、男性の方が女性よりも満足している人の割合が低く、資産については、60歳以上の満足度が高い一方で、30~50代の満足度が低いという傾向があります(内閣府「国民生活に関する世論調査」2021年度)。

このようなデータを総合的に見ると、30〜50代の男性は経済的な不安を抱えているケースが多く、その不安を解消する1つの手段として、不動産投資を選択しているという背景が考えられます。

実際、家賃収入は物件を保有している限り発生しますので、老後に向けた個人の年金作りにつながります。将来的にインフレで物価が上がった場合も、家賃収入があれば生活費を上乗せできますし、インフレ時には不動産価格も上がることが多く、資産価値が上がります。ローンを組んで不動産投資をする場合、団体信用保険に加入すれば万一のことがあったときに残金の返済が免除されますし、その点で不動産が生命保険の代わりにもなります。

まとめ

不動産投資をしている人、していない人の両方を対象として、不動産投資に対する興味の度合いをみてみると、すでに不動産投資をしたり、興味を持ってセミナーなどに足を運んでいる人が数%いるとともに、具体的な行動はとっていないものの、興味を持っている人が27.8%いることがわかりました(グローバル・リンク・マネジメント「不動産投資に対する意識調査」2021年)。

また、すでに不動産投資をしている人に絞ると、61.3%の人は不動産の買い増しを検討したいと考え、不動産投資をしていることについてよかったと思っている人は81.8%にのぼります(野村不動産ソリューションズ「第13回不動産投資に関する意識調査」2021年、同「第10回不動産投資に関する意識調査」2018年)。

このことからわかるのは、資金の準備や調達手段があり、実際に不動産投資を始めた人は、経済的な不安を解消するという心理面でも、収入が増えて生活水準が上がるという実質的な面でも満足しているということ。富裕層が不動産投資をする、というイメージは間違いではありません。

しかし、データから投資家像を分析すると、実際にはサラリーマン投資家が多く、3000万円くらいの資金で着々と収入を増やしている人がいます。不動産投資は案外身近で、資金の準備や調達手段さえ整えば、多くの人にとって経済的な不安を解消できる有効な手段になり得るということです。

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OWNERS.COM編集部