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不動産投資

2022.11.21

インカムゲイン、キャピタルゲインとは何か?どちらを狙うべきか?

インカムゲイン、キャピタルゲインとは何か?どちらを狙うべきか?

不動産投資で得られる収益は、インカムゲインとキャピタルゲインに分けられます。どちらも資産が増えるという点では同じですが、利益が生まれる仕組みが違い、税制なども異なります。不動産投資で成功するために、まずはそれぞれの収益について理解を深めましょう。

長期で安定的に得られる利益(インカムゲイン)

インカムゲインは資産を保有することによって安定的、継続的に得られる収益を指す言葉です。株なら配当金、預金や債券なら利子、不動産投資では家賃収入がインカムゲインに該当します。

特徴は2つあります。

1つ目は、資産を保有している限り継続して収益を得られること。資産の長期保有を目指すことによって収入も長期的に得ることができます。

2つ目は、1回ごとの収益が小さいこと。例えば、上場企業の株の利回り(東証平均)は、配当がある会社のみの平均で2%弱。不動産はもう少し大きく、都心のワンルーム物件で利回り4%前後が平均と言われています。簡単に言えば「長く、小さく」がインカムゲインの特徴で、インカムゲイン狙いの不動産投資をすることによって月々の収入を増やすことができます。

ちなみに、不動産の利回りでは表面利回りと実質利回りという言葉がよく使われます。表面利回りは物件の購入価格(販売価格)と年間の家賃収入で計算し、物件の維持管理費などの経費は含みません。不動産会社などが提示する利回りは表面利回りです。

実質利回りは、物件の購入価格(販売価格)と年間の家賃収入から諸経費を引いた金額で計算するもので、表面利回りより低くなり、実際に手にする収入に近い収益率を表します。

また、家賃が高く、物件の購入価格が安いほうが利回りは高くなります。そのため、利回りを高くする、つまり不動産投資の効率を高くするためには、高く貸せる物件を安い価格で購入することが重要なポイントといえます。

もう1つ付け加えると、インカムゲインは家賃のことですから、空き家になると収入がなくなります。また、複数の物件を貸している場合、全室満室の場合と空き家がある場合とでは収入が変わります。このとき、満室だったと仮定して計算する数字を想定利回りと言います。空室になると収入がなくなりますので、長期的に安定して収入を得るためには、入居者がつきやすい物件を選ぶこともポイントです。

物件価格の値動きによって得られる利益(キャピタルゲイン)

キャピタルゲインは資産の売買によって単発的に得られる収益を指す言葉です。株や債券なら売買したときの売却益、不動産投資では物件の売買によって発生する収益がキャピタルゲイン。例えば、3,000万円で購入した物件を売却し、諸経費別で3500万円で売れた場合、手元に入ってくる500万円の利益がキャピタルゲインです。

キャピタルゲインの特徴は、短期間で効率よく大きな利益が狙えることでしょう。ただし、リターンが大きいほどリスクも大きくなりますから、3,000万円の物件が3,500万円で売れることもあれば、2,500万円に値下がりする可能性もあります。

不動産市場の特性として、地価などキャピタルゲインに直結する市場価格は短期で動きますが、家賃相場などインカムゲインに直結する市場価格は値動きが緩やかです。

つまり、3,000万円の物件が3,500万円になったり2,500万円になったりするのに対し、10万円の家賃が短期で12万円になったり8万円になったりすることは少なく、その点において、キャピタルゲイン狙いの売買は買い時、売り時のタイミングが重要で、その見極めによって利益が大きく左右されます。

また、個人保有の不動産を売却して発生するキャピタルゲインは、保有期間によって利益にかかる税率が変わります。保有期間が5年未満の場合は短期譲渡所得として40%超の税金がかかり、5年超の場合は長期譲渡所得として20%程度の税金になります。

キャピタルゲイン狙いの不動産投資は、短期的な地価の高騰によって大きく利益が得られ、インカムゲイン狙いの不動産投資と比べて効率よく稼ぐことができますが、効率よく利益が得られる半面、税負担も大きくなる可能性があることです。

インカムゲイン狙いの方がハードルが低い

インカムゲインとキャピタルゲインは、利益が生まれる背景が違います。また、インカムゲインなら地域の入居者需要を見る、キャピタルゲインなら地価や景気の動向を見るなど、物件選びのポイントも異なります。

ただし、この2つは相反するものではありません。家賃収入目的で買った物件でも、地価が高いときに売却すればキャピタルゲインが得られますし、売却益目的で買った物件も、売却するまでの期間で家賃収入を得ることができます。

難易度の点から考えると、会社員の不動産投資やこれから不動産投資を始めるのであれば、インカムゲインを狙う方がリスクが小さくなるでしょう。家賃収入は、入居者さえ見つかれば、そこから先はほぼ自動的に発生します。前述の通り、物件価格と比べて家賃が大きく動くことも少ないため、安定的に収益が得られます。

また、キャピタルゲイン狙いの投資は物件価格が下落したときの損失が大きくなり、資金が減れば投資が続けられなくなります。その点、長期間の保有を前提とするインカムゲイン狙いの投資なら、高く売れる時期を待つことができます。地価は景気に連動して上下を繰り返しますので、そのタイミングを待つことによって損失を減らしたり、利益を得たりすることができるわけです。

まとめ

インカムゲインとキャピタルゲインは、不動産投資を始める上で知っておく必要がある言葉です。どちらも利益を意味しますが、その背景が違い、リスクとリターンも異なります。長期的に家賃収入を得て、月々の収入や退職後の年金の足しにするのが良いか、それとも、短期的に利益を得て、資産を増やすのが良いか。どちらにも対応できるのが不動産投資の良いところです。投資する目的に照らし合わせて考えてみると良いでしょう。

この記事を書いたスタッフ

OWNERS.COM編集部