クラウドファンディング
2023.04.28
不動産クラウドファンディングは、複数の投資家から集めた資金で不動産を運用し、リターンを投資家に分配します。投資の仕組みと、不動産クラウドファンディングを始めるための手続きについて見てみましょう。
不動産クラウドファンディングは、少額で簡単に不動産投資ができる新しい投資の手段。投資家を募集している事業者のウェブサイトから投資したい物件を探し、契約し、リターンを得ることができます。
不動産クラウドファンディングが特徴的なのは、1つの物件に複数の人が投資(出資)する点です。従来の不動産投資(実物不動産投資)は、1つの物件を1人が所有し、賃貸や売却によってリターンを得ます。物件の管理や売却も所有者となった人が行います。
一方の不動産クラウドファンディングは、物件を小口化したもので、例えば、1億円の物件に100人、200人といった人が投資します。この仕組みを不動産特定共同事業といい、小口化して投資家を募集する事業者を不動産特定共同事業者といいます。
不動産特定共同事業は、不動産特定共同事業法(不特法)によって国土交通大臣か都道府県知事の許可を得た事業者しか行うことができないと定められています。つまり、国や都道府県が健全に事業をしていると認めた事業者に絞られるため、投資家としては一定の安心感がある投資といえます。
また、不特法は近年の改正によって契約の電子処理ができるようになりました。その結果、物件探し、契約、リターンを得るまでの一連の流れが全てインターネット上で完結できるようになりました。
不動産クラウドファンディングを始めるステップは2つに分けられ、いずれの手続きもインターネット上で完結します。
1つ目は、クラウドファンディング事業者の会員になること。2つ目は、クラウドファンディング事業者が提供している物件に申し込み、契約することです。
投資したいクラウドファンディング事業者のウェブサイトで会員登録を行います。事業者によって多少の差はありますが、登録までの流れは以下の通りです。
メールアドレスを入力して会員登録を行います。事業者から送られてくるメール(認証用メール)をクリックして会員登録を完了します。
会員になるとマイページが作成されます。マイページにて自分の情報を入力し、投資家として登録を行います。登録のための入力情報は、氏名や住所など本人に関する情報、投資用口座として使用する金融機関の口座情報などです。また、本人確認が必要となるため、運転免許証とマイナンバーカードが必要です。
必要な書類をアップロードすると事業者側で審査が行われます。入力した情報に不備がなく、審査条件に引っかかるような問題がなければ投資家として登録され、投資家募集中の物件に投資できるようになります。
クラウドファンディング事業者の投資家登録が完了したら、募集中の物件への投資に申し込み、契約します。この手続きもオンラインで完結。物件情報はクラウドファンディング事業者のウェブサイトで確認します。
不動産クラウドファンディングは、居住用マンションのほか、オフィスビル、ホテル、商業施設などにも投資できます。複数の投資家が出資し、運用資金が大きくなるため、個人の資金では投資が難しい高額の物件や商業施設などにも投資できることが特徴です。
物件の情報(立地や周辺の交通状況など)はクラウドファンディング事業者のウェブサイトで確認できます。事業者によって、過去の物件の運用状況やリターンのシミュレーションができる場合もあります。
投資したい物件が決まったら、投資額(口数)を決めて応募します。募集する物件はその時々によって変わり、条件が良い物件は募集情報が開示されてから数分で締め切られたり、抽選となったりする場合があります。
応募が通った場合は契約に必要な書面に同意し、契約します。物件ごと、事業者ごとに出資金の期日が指定されているため、期日までに入金すれば契約成立です。契約書面の受領日から起算して8日以内であればクーリングオフによる契約の無効化もできます。
契約が成立すると運用が開始されます。運用状況はマイページにて確認可能。運用実績に応じたリターンが指定した金融機関の口座へ振り込まれます。
運用に関わる業務や手続きなどはクラウドファンディング事業者に任せることができます。ここが実物不動産投資との大きな違いです。
実物不動産投資は、所有する物件を自分で管理するか、管理会社などに依頼する必要があります。しかし、不動産クラウドファンディングの場合はそれら業務をクラウドファンディング事業者が行いますので、投資家の手間がかかることはなく、運用が終了するまで何も手をかけずにリターンを得ることができます。
不動産クラウドファンディングで得られるリターンは、クラウドファンディング事業者が運用を通じて生み出すリターンの一部です。具体的には、物件の売買から生まれるリターン(キャピタルゲイン)と、賃料やテナント料収入などから生まれるリターン(インカムゲイン)があり、どちらを重視して運用するかはクラウドファンディング事業者や物件によって異なります。運用方針によって期待できるリターンや利回りが変わりますので、物件選びの際にはその点もよく確認することが大事です。