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2022.11.21

不動産クラウドファンディングの分配金は確定申告が必要か?

不動産クラウドファンディングの分配金は確定申告が必要か?

不動産クラウドファンディングは、不動産投資のための資金をインターネット上で募集して、出資者の出資割合に応じて「分配金」を支払う仕組みです。不動産クラウドファンディングで得られる「分配金」は確定申告が必要なのでしょうか。不動産クラウドファンディングの税金がかかるケースと確定申告の流れについてみていきましょう。

不動産クラウドファンディングの「分配金」には税金がかかる

不特定多数の投資家から、インターネットを通じて出資を募る新しい不動産投資の「不動産クラウドファンディング」。1万円程度の小額から不動産投資を始めることができるとあって、近年注目を集めています。

実際に不動産クラウドファンディングを始めて「分配金」を得たときに、気になるのは確定申告が必要かどうか。そこで今回は不動産クラウドファンディングで得た利益の確定申告について解説します。

不動産クラウドファンディングからの分配金は、受け取る前にあらかじめ事業者によって源泉徴収(所得税20%+復興特別所得税0.42%=20.42%)されます。そのため投資家は分配金に対して納税する必要はありません。

たとえば、分配金が利回り5%(1年間運用)の案件に100万円を投資したとすると、年間の分配金は5万円になるので、「50,000円×20.42%=10,210円」が引かれます。不動産クラウドファンディングは源泉徴収した額が分配金として支払われるので「50,000円-10,210円=39,790円」が手取りの額となります。

分配金は「雑所得」の扱い、「総合課税」の対象

不動産クラウドファンディングで得た分配金は「雑所得」の扱いになり、確定申告をする場合は「総合課税」の対象となります。総合課税とは、各種の所得を合算して税金を計算するものです。

ちなみに、税法上の所得は「給与所得」「事業所得」など10種類あります。不動産クラウドファンディングの分配金は、「不動産所得」「配当所得」「利子所得」などではなく、「雑所得」の扱いになるので勘違いしないように気をつけましょう。

(写真=PIXTA)

不動産クラウドファンディングで確定申告が必要なケース

分配金は総合課税の対象になりますが、ただ確定申告をする必要があるか否かは、「雑所得」の額によって違ってきます。というのも、「雑所得が20万円以下」の場合は、確定申告は不要という制度になっているからです。

つまり、源泉徴収前の分配金を含めた雑所得総額が20万円以下の場合、確定申告をする必要はありません。

では、どのような場合に確定申告を行う必要があるのでしょうか。次のケースに該当する人は確定申告をする必要があります。

まずは、「雑所得総額が20万円以上」の場合です。「雑所得」に分類されるものとしては、不動産クラウドファンディングの分配金のほかに、「年金収入」「印税や講演料」「副業による収入」「ネットのオークションサイトやフリマサイトでの収入」などがあります。

これら雑所得に分類される所得と、不動産クラウドファンディングの分配金の合計が20万円を超える場合は確定申告が必要です。

次に、「もともと確定申告をしている人」の場合です。一般の会社員は年末調整があるので確定申告をする必要はありませんが、「年収2,000万円以上の会社員」や「ふるさと納税」をしている人、「医療費控除」を受ける人などは、雑所得の金額に関係なく確定申告をする必要があります。

そのほか、「課税所得金額が694万円以下」の場合も確定申告が必要になります。個人の所得税率は課税所得金額によって5%~45%と税率が異なりますが、「課税所得金額が694万以下」の人は所得税率が20%以下になります。

不動産クラウドファンディングの分配金は、事業者があらかじめ20.42%の税金を源泉徴収しているので、所得税率が20%以下の人は、税金を多く払い過ぎていることになります。そのため確定申告をすることで、払い過ぎた税金を還付してもらうことができます。

不動産クラウドファンディングでの確定申告の流れ

最初に、所得額を確認します。前述したように不動産クラウドファンディングでは確定申告が必要な場合と不必要な場合があります。まずは雑所得が20万円を越えているかどうか、課税所得金額が694万円以下かどうかなどを確認しましょう。

確定申告が必要な場合には、必要な書類を用意します。具体的には、「給与所得や公的年金等の源泉徴収票(原本)」「医療費の領収書」「社会保険料控除証明書」「生命保険料控除証明書」「地震保険料控除証明書」などです。

次に、確定申告書を作成します。現在はインターネットを使って作成できる「確定申告書等作成コーナー」があります。国税庁のホームページ上にあり、必要なデータを入力すれば自動で申告書を作成してくれるため簡単です。

確定申告書を作成したら、税務署に提出します。国税庁の確定申告書等作成コーナーで作成した場合は、「マイナンバーカード方式」「ID・パスワード方式」「税務署に提出または郵送」の3種類の提出方法があります。マイナンバー、またはID・パスワード方式を使えばネット上で済ませられるので楽です。

確定申告の提出が完了すれば、後日、納税または返還されます。源泉徴収額が少なかった場合には、不足分を納税することになります。逆に源泉徴収額が多かった場合には、税金を納め過ぎたわけですから、差額が返還されます。

まとめ

不動産クラウドファンディングの分配金は「雑所得」で総合課税の対象です。しかし分配金は源泉徴収されているので、年間の雑所得総額が20万円以下であれば確定申告の必要はありません。

ただし、年収が2,000万円以上の会社員、青色申告の人、ふるさと納税や医療費控除を受ける人は確定申告が必要です。また、課税所得金額が694万円以下の人は、源泉徴収で税金を納め過ぎているので、確定申告をすれば還付されます。

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OWNERS.COM編集部