相続
2026.02.13

不動産クラウドファンディングで将来の資産形成を進める人にとって、「もしもの時」にその投資がどう扱われるのかは、大きな関心事ではないでしょうか。不動産クラウドファンディングが相続財産としてどのように評価され、どのような税金がかかるのか、そして知っておくべき注意点とは? 複雑に感じられる相続税の仕組みを、不動産クラウドファンディングの特性と合わせて分かりやすく解説し、賢い相続対策のヒントをお届けします。
この記事の目次
日本の相続税では、亡くなった人が所有していた財産を相続財産として、税金の計算を行います。相続財産の金額は、預金や不動産、株式や保険金などの種類によって評価方法が決められています。
まず相続財産それぞれを評価して金額を合計します。その後、合計金額から基礎控除の金額を差し引いて、残った金額に税率を掛けて、相続税が決定します。基礎控除の金額は、3,000万円+法定相続人の数×600万円で計算されますので、相続財産の合計が基礎控除より小さい場合には、相続税は発生しません。
現金や預金などは、金額がそのまま相続財産の評価額として使用されますが、不動産を現物で所有しているときは、特有の評価方法があり、市場の売買価格よりも低い金額で評価されることが一般的です。時価と相続税評価額の差が生まれることを利用して、相続税の対策として不動産を利用するという手法が存在しています。
匿名組合型では、出資者は「不動産を所有していない」と見なされます。そのため、相続税評価は、出資者としての持分に基づき「清算時点で受け取ることができる金額」を基準に算出されます。この清算金の金額は、匿名組合契約の内容や組合の財務状況により異なるため、出資時には清算条項を十分に確認しておくことが重要です。
一方、任意組合型では、出資者は「不動産の一部を共有持分として所有している」と見なされます。そのため、相続税評価においては現物不動産と同様の扱いとなり、評価額を抑えられる可能性があることから、相続税対策の手段として注目されることもあります。しかしながら、任意組合型には注意点もあります。 不動産の一部所有とみなされることで、「市場での流動性が著しく低い(売却や換金が難しい)」、「評価額を巡って税務当局と争点になる可能性がある」といったリスクが生じる点も理解しておくべきです。
現金や上場株式などの有価証券は、売買金額がそのまま相続税評価額として計算されます。しかし、任意組合型の不動産クラウドファンディングであれば、不動産の一部を所有しているものとして、不動産の評価方法と同じ方法で計算することができます。不動産の相続税評価額は市場の売買価格の80%程度になることが多いです。
具体例を挙げて、相続財産や相続税がどれだけ変わるかを見てみましょう。
1億円の預金が相続財産の場合で、法定相続人は2人として計算します。すると、相続財産は1億円、基礎控除が4,200万円で、相続税が1,040万円になります(控除等を考慮せず単純計算した場合)。その1億円で任意組合型の不動産クラウドファンディングに出資をしていた場合、不動産の評価額は物件によって変わりますが、簡便的に時価の80%とすると、相続財産は8,000万円、基礎控除は変わらず4,200万円、相続税は560万円となります。
このように相続財産は20%減少し、相続税は約46%も減少するという節税効果があります。あくまで一例ですが、任意組合型には相続財産と相続税の双方を圧縮できる可能性があります。
ここまで説明したように、匿名組合型と任意組合型は似ている部分もありますが、相続税の取り扱いという点においては、明確に別物として扱われます。任意組合型であれば相続税の対策になり得ますが、匿名組合型では相続税の対策にはならないので、気を付ける必要があります。
相続対策として不動産の現物を所有することのデメリットの一つとして、遺産分割の際に不動産を分割しにくいという点が挙げられます。しかし、不動産クラウドファンディングであれば、出資額が小口化されているため、出資口数で分割して相続することも容易です。
一般的な投資と同様に、リターンやリスク、事業者名や投資対象などはもちろん確認すべきです。不動産クラウドファンディングでは、匿名組合契約か任意組合契約のどちらなのか、出資者の死亡時における清算金の取り扱いはどうなっているのか、契約内容をより注意深く確認することは非常に重要です。