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不動産投資

2024.08.14

土地活用としての「コインランドリー」、はたして儲かるのか? 成功のポイントを解説

土地活用としての「コインランドリー」、はたして儲かるのか? 成功のポイントを解説

いまや至る所に目にする「コインランドリー」。土地活用のひとつの手法としても注目されましたが、これだけあるのだから「儲かるビジネスなんだろうな」と誰もが思うのではないでしょうか。そこで「コインランドリー経営」について紐解いていきます。

全国で急増!「コインランドリー」経営

昨今、街中で多く見られるようになったものといえば、たとえば「無人の冷凍餃子販売所」。今日のご飯は何にしようか、などと悩んだときにサッと買えて便利ですが、土地オーナーの視点では、1~3坪ほどの小さなスペースで始められ、基本的に無人だから人件費もほぼかからない、1日24時間1年365日営業可能と、初期投資も運用コストも抑えられる土地活用法という一面が魅力です。

 

同じく、土地活用という点でみたとき、10年ほど前から一気に増えていまや街の中に当たり前のようにあるのが「コインランドリー」です。厚生労働省『コインオペレーションクリーニング営業施設に関する調査』によると、1996年には全国で1万228店だったコインランドリーは、2013年には1万6,693店と1.6倍に。民間の調査では、2017年には全国2万店を超えたと推計されています。

 

コインランドリーといえば、以前は「銭湯の横にあり、照明の暗い空間」というイメージで、主に洗濯機のない独り暮らしの男性が利用するものでした。しかし昨今は若い女性が好んで利用されるものへと変わり、カフェやワーキングスペースを併設するなど、おしゃれな店も増えています。

なぜ「コインランドリー」は爆発的に増えたのか?

ほとんどの家に洗濯機があるにも関わらず、なぜ近年、コインランドリーはここまで増えていったのでしょうか?

 

その理由として挙げられるのが「単身者の増加」。家に洗濯機は一応あるけれど、洗濯から乾燥までやってくれるコインランドリーは大変便利。1週間に一度、たまった洗濯物を持ってコインランドリーに出かけるほうがずっと時短になるというわけです。

 

その利便性が広く知られ、共働き世帯へと波及。昨今は家事負担を減らしたいという専業主婦もコインランドリーを使用する頻度が増えているといいます。

 

また時代の変化とともにコインランドリーの使用が増えたのが、ペットを飼う世帯。一般社団法人ペットフード協会『全国犬猫飼育実態調査』によると、犬の飼育頭数は684万頭、猫は906万頭。猫は昔から室内で飼育していましたが、犬は外で飼うのが一般的でした。しかし都市部を中心に室内飼いが一般化。そうなると気になるのがペットの毛です。ペットの毛がたくさんついたものと普段着とを一緒に洗うのは…。そこで重宝するのがコインランドリーというわけです。

 

さらに2020年、新型コロナウイルス感染症の流行で衛生意識のさらなる高まりにより、全体的にコインランドリーの利用頻度が増加しました。

 

このように、多くの人にとってコインランドリーの利用が日常化していくなか、店舗もどんどん増加していったわけです。

土地活用としての「コインランドリー経営」メリットとデメリット

では土地活用としての「コインランドリー経営」。メリットとデメリットをみていきましょう。

 

「コインランドリー経営」のメリット

賃貸経営であれば、当然空室により家賃収入が得られないというリスクが付きまといます。しかしコインランドリーは空室とは無縁です。

 

またコインランドリーは基本的にセルフサービス。無人店舗も多く、人件費をぐっと抑えることができます。清掃や集金などの必要はありますが、スタッフを常駐させる必要がないのは運営面で大きなメリットです。

 

さらに賃貸経営であれば、専門的な知識を必要とするシーンも多くありますが、コインランドリー経営の多くがフランチャイズによるもの。細かな対応は本部が行ってくれるので、専門的な知識を必要としません。

 

さらに初期費用の約70%を償却可能であることは、税金対策が必要な企業にとって魅力。また「小規模宅地等の特例」が適用できることから、相続税対策として活用する人も多いようです。

 

そんなコインランドリー経営は、一般的に表面利回りは15~20%程度といわれています。賃貸経営に比べるとかなり高利回りといえるでしょう。ただこの表面利回りは売り上げに対するもので、設備や土地代・建物代などは含まれていないので注意が必要です。

 

「コインランドリー経営」のデメリット

コインランドリー経営はメリットばかりではありません。店舗数が多いことから競合店も多く、また差別化が難しいという一面があります。昨今、カフェやコワーキングスペースなど“洗濯以外”の用途を組み込むのは、このような事情もあるのです。特に単に洗濯に特化した店舗であれば、商圏内に競合店がオープンすると経営に大きな影響が出ます。

 

装置を多く使用するため、故障や不具合は日常茶飯事です。基本、無人経営なので、そのようなトラブルは顧客離れを引き起こし、また無人のため、窃盗などの対策も必須です。

 

さらにコインランドリーの利用には季節性があります。儲かるのは梅雨時など、天候不順のとき。反対に晴天が続けば集客は落ち込みます。天気の行方は神のみぞ知るところ。いかに経営を安定させるかが、コインランドリー経営のポイントになるでしょう。

 

そんなコインランドリー経営、土地や建物を所有していた場合でも、初期投資(開業資金)に4,000万~5,000万円程度かかるとされています。参入障壁の高さもデメリットだといえます。

「コインランドリー経営」を成功させるポイント

メリットがある一方でデメリットもあるコインランドリー経営。デメリットをいかに克服するかが、儲けるコツだといえるでしょう。

 

競合対策は、いかに他店と差別化を図るかにつきます。たとえば、珍しい機能をもつ最新機種を導入する、というのはひとつの対策。一番の来店動機は「洗濯」なので、「こんなものまで洗える」など、目新しさをアピールできればリピーターになってくれる可能性も高まるでしょう。

 

またフランチャイズ経営が一般的なコインランドリー経営において、無人経営によるリスクは、いかに本部のフォローが厚いかにかかっているといえるでしょう。顧客対応の質はどうか、現状のフランチャイジーの評判はどうかなどを見極めることが、安定したコインランドリー経営に直結します。

 

もちろん本部のフォローが万全だからといって、すべての人が成功するとは限りません。すべてを本部に任せるのではなく、しっかりと経営意識をもつことこそが成功のカギといえるでしょう。

この記事を書いたスタッフ

OWNERS.COM編集部